
「ChatGPT Atlas」よりも一足早く登場していたPerplexityによるAIブラウザ「Comet」。
実は、けっこう実用的なレベルのAIエージェント機能を備えており、タスクによってChatGPT Atlasよりも(かなり)優れていると感じるシーンも多い。
特に、「Comet」はGmailやGoogleカレンダーなどのGoogle系サービスとの相性がよく、過去メールの検索・要約から、MTGスケジュールのセッティングまで、非常にスムーズに動作し、ほぼ自分専属の秘書のようにAIエージェントを使うことができる。
筆者の中では、ChatGPT Atlas よりも、Perplexity Comet の方が利用頻度が高い。
本記事では、そんなPerplexity Comet の魅力や概要、筆者が発見したCometブラウザの活用例などを、スクリーンショットを交えながら詳しく解説していく。
Cometは無料で利用開始できるので、まだAIブラウザを体験していない人は、ぜひ試してみてほしい。
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現在、こちらの筆者の紹介リンクからCometをダウンロード&利用開始すると、有料版のPerplexity Pro(通常料金:月額20ドル相当)を1ヶ月間無料で利用できる。
Cometは無料でも利用可能だが、Proに登録することで、本記事で紹介しているCometのAIエージェントを、より多くの回数利用することができる。
また、PerplexityでのPro Searchなど、Cometブラウザ以外でも普通に便利な機能が多数使えるので、まだ試したことがない人にはぜひお勧めしたい。
Perplexityが開発する「Comet」ブラウザの概要
「Comet」は、Perplexityが開発するAI駆動Webブラウザで、2025年7月の発表当初は月額200ドルのMaxプランの加入者限定で提供されてきた。
2025年10月になって誰でも無料でダウンロード可能となり、ようやく多くの人が利用することが可能になった。
ブラウザとしての機能はタブ、ブックマーク、URLなど見慣れたもので、Google Chromeなどの一般的なブラウザとほとんど違いはない。ChromeやEdgeなどから乗り換えても、違和感なく移行できるだろう。
Cometの特徴的な点は、ホーム画面やURLバーでのWeb検索が全てPerplexityによるAI検索に置き換わること、またサイドパネルでいつでもどこでもAIアシスタントを呼び出せることだ。

アシスタントは、閲覧中のWebページに関する情報を理解した上で質問に回答してくれるので、いちいち情報をコピペしなくても当該ページに関するAIとのチャットが可能で便利である。
また、アシスタントは単にページの情報を読み取るだけでなく、実際にブラウザ画面を操作してクリック、フォーム入力などのアクションを実行可能である。

例えば、「Googleカレンダーの予定を作って」とCometに依頼すると、ブラウザのカーソルが勝手に動き出し、カレンダーの予定を新規作成してタイトルや日付を入力してくれる、という驚きの体験が味わえた。
こうした「AIエージェント」機能こそが、CometのようなAI駆動Webブラウザの醍醐味である。
AIエージェントは、Webブラウザを、情報の「閲覧」から、タスクの「実行」が可能なツールに進化させてくれる。
Cometの場合、以下のようなブラウザ上の作業を、かなりスムーズに自動で実行可能である。
- メール整理の自動化:メルマガの配信停止手続き、締切が近いメールの自動ピックアップ、未返信メールの発見&ドラフト作成など
- カレンダー秘書機能:週の予定のブリーフィング、MTG時間の調整、予定の自動作成&招待の自動送信など
- ページ横断の作業・リサーチの高速化:Amazonの注文履歴の確認、Spotifyプレイリストの作成など
- ページの要約や翻訳:表示しているページや動画の要約作成など
「エージェント」機能の利用回数にはプランにより上限が存在
画面右側の「アシスタント」パネルで質問をした場合、インターフェース上は違いがないように見えるが、実際には裏側で「Comet Assistant」と「Comet Agent」という二つの異なるレイヤーが存在している。
「Comet Assistant」は、画面上の文脈を理解した上で、要約、チャット、ウェブ検索などの受動的なタスクを実行してくれる。通常のPerplexity検索や、ChatGPT/Geminiのようなチャットアシスタントに近い挙動である。
一方で、「Comet Agent」は、クリック、テキスト入力、タブを開く・閉じるなど、能動的なアクションを行うことができる存在で、Assistant よりも遥かに高度なタスクを実行してくれる。
同じ「アシスタント」パネルを使った場合でも、質問や指示したタスクによって、Assistant しか動作しない場合と、Agent まで動作する場合があるのだ。
2025年10月20日現在、Perplexityの公式サイトを見ても上限が明記されていないが、Comet アシスタントを利用した高度なエージェント機能(ex. Gmail検索、ブラウザ操作、フォーム入力など)には、プランによって、1日あたりの利用回数の上限が存在するようである。
ログインせずに無料ユーザーとして利用していても、エージェント機能は利用可能だが、数回で上限に到達してしまう。
月額20ドルのProプランの筆者の場合は「アシスタント」パネルで10〜20回程度のAgent タスクを指示した後で、以下のように「Comet Agent」の上限到達メッセージが表示された。
月額200ドルのMaxプランであれば「10倍」とのことなので、おそらく100〜200回程度の「Comet Agent」の利用が可能であると思われる。

上限に達したあとは、「アシスタント」パネルで指示しても、通常のPerplexity検索しか行われない状態になる。
この状態では、エージェントっぽいタスクを指示したとしても、エージェント機能が動作することはなく、純粋な「Comet Assistant」のみが動作する状態になっているようだ。

リリース直後ということもあってか、Perplexityの公式サイトには上限についての明文の案内がないし、UI上から、アシスタントモードなのかエージェントモードなのかが判別できないのも少し不便だ。
いずれにせよ、現時点ではあまりエージェント機能の乱発はせず、「ここぞ」という時に利用したほうがいい。
AI検索と従来型のウェブ検索の棲み分け
Chromeなどの従来ブラウザから、Cometに乗り換えると、最初はあらゆる検索でAIの回答を待たなければならないのがストレスに感じるかもしれない。
例えば単純に商品名で検索してAmazonの購入ページを見つけたいだけの時に、いちいちAIが作成する商品情報のサマリーを見せられても困る。
そのような時、Cometの場合、従来のGoogle検索を用いる選択肢も残されている。
URLバーに検索ワードを打ち込んだ後、普通に「Enter」だけを押すとPerplexity検索になってしまうが、「Shift + Enter」キーを押すとGoogle検索を使用することができる。

また、デフォルトの検索エンジンをPerplexityからGoogleに戻し、逆に「Shift + Enter」の時にだけPerplexityを使用するなど、デフォルトの挙動を変更することも可能だ。

このようなデフォルト検索エンジンの変更は、ChatGPT Atlasでは行えない(2025年10月現在)ため、Perplexity Cometの方がよりユーザーに柔軟な選択肢を残していると言える。
あらゆるタスクを自動実行する「Comet アシスタント」でできること
Cometブラウザのアシスタントは、ChatGPTやGeminiのような単なるチャット相手ではない。
Cometは、人間の指示に従って、「クリック」「テキスト入力」「フォームの送信」など、実際にブラウザを操作することができる。
ページを要約させたり、メールの返信を書かせたり、カレンダーの予定を作らせたり、Amazonで商品を探させたり、ありとあらゆるブラウザタスクを実行させることができてしまうのだ。
しかも、ChatGPT Atlasでは手動で「エージェントモード」をオンにする必要があるが、Perplexity Comet の場合には、ユーザーの質問や指示に応じて、自動でエージェントモードを使うかどうかを判定してくれる。
以下では、Cometブラウザでどんなことが出来るかを、実例と共に紹介していく。
複数ページ・サイト横断のブラウジングを実行する
例えば、「Amazonで見つかる代表的なLEDランタン」を尋ねてみると、Cometが勝手にAmazonを開いて「LED ランタン」「アウトドア ランタン」などと関連キーワードで検索を行い、「おすすめ順」「ベストセラー順」でソートして、主要な商品をリストアップしてくれた。
リアルタイムで、この過程がブラウザ上で自動実行されていく。人間が途中でクリックなどをして介入することも可能である。

こうした単純なブラウンジングだけでなく、サイトログイン時に求められるワンタイムパスワードの入力など、「Gmailを検索してパスワードをコピー、ログインフォームにペースト」という複数サイトを行き来する複雑なタスクまでも、Cometアシスタントがスムーズに実行してくれる。

日常のあらゆるWeb作業を、オートパイロットで行える感動的な体験だった。
「スマートアクション」でページや動画を要約・翻訳する
また、Cometブラウザ右上のアイコンをクリックすると、「現在のWebページを要約する」ことも瞬時に可能である。
要約としての用途だけでなく、外国語のページも日本語で要約してくれるので、翻訳にも活用することができる。
英語で長文のニュース記事などを読む際に、サマリーを瞬時に把握できるのは非常に便利だ。

また、閲覧中のページの一部をハイライトした状態でアシスタントに指示を送ると、選択部分をアシスタントが読み取った上で質問に回答してくれる。
記事中の特定の段落だけを日本語に訳したい場合や、記事の中の一部分について深く質問したい場合など、いちいちChatGPTやGeminiにコピペせずに済むので効率的だ。

音声で Comet アシスタントに指示する
さらに、Cometアシスタントには音声モードが存在する。
右上のボイスモードのアイコンをクリックすると、Cometと口頭で会話することが可能である。
閲覧中のWebページについてAIと対話しながら理解を深めたり、次なるリサーチのアイディアを検討してもらったりといったことが可能だ。

なお、Cometブラウザのインストール直後は、音声モードの言語が英語になっていた。
音声モードの設定から、「日本語」を選ぶことができ、日本語でのやりとりも可能だ。
リリース当初から日本語に対応してくれているのはありがたい。

特定のタブを選び Comet アシスタントに指示する
例えば、折り畳み自転車の購入を検討していて、気になっている自転車を複数のタブを開いてチェックしているとする。
このうち一部の商品について、スペックを詳細に比較したくなったら、「@」を打ち込んで比較対象としたいタブだけを指定し、リサーチを細かく指示できる。

Webブラウザで、常に大量のタブを開きっぱなしにしており、いちいちタブを閉じない使い方をするユーザーも多いはず。
そんな時、アシスタントがどのタブを参照すれば良いか迷子にならないよう、特定のタブをコンテキストとして指定できるというわけだ。
コネクタでGmailなどの他社サービスと接続する
PerplexityおよびPerplexity Cometは、「コネクタ」という他社サービスとの接続機能がある。

GmailやGoogleカレンダー、Notion、Githubなどのアプリケーションにログインしてコネクタを有効にしておけば、アシスタントがこれらのサービスに接続して、より高度なアクションをしてくれる。
また、コネクタを有効にするかどうかは、設定画面からも変更できるが、Cometアシスタントとチャットをしている中で必要が生じれば、接続するように促してくれるので、それに従えば良い。

2025年10月現在、Perplexityは以下のサービスのコネクタに対応している。
- Gmail with Calendar
- Outlook
- Google Drive
- Dropbox
- Linear
- Notion
- GitHub
- Slack
さらに高度なMaxプラン限定機能も存在
Maxプランは、利用回数の上限が大きいだけでなく、限定の機能が提供されている。
2025年9月にリリースされたばかりの「Email Assistant」は、メールのCCにアシスタントを加えると、スケジューリングなどのタスクを実行してくれるエージェントである。
月額200ドルのMaxプランを利用しているユーザーは、assistant@perplexity.comというアドレスをスレッドに加えるだけで、「Email Assistant」が自分の分身としてメールのやり取りを行い、MTGのセッティングなどをしてくれるという。
Comet ブラウザの活用例
以上ではPerplexity Cometが備える基本的な機能について紹介してきたが、今度はそれらを実際に組み合わせると、どんなことが可能なのかのユースケースを挙げておこう。
以下で紹介する例は、筆者が実際に使っている中で、特に便利だと感じたものだ。他にも無限の可能性があるが、一例として参考にしてほしい。
スーパー秘書:GmailやGoogleカレンダーを自由自在に操る
最も便利に感じたのは、「コネクタ」と組み合わせたPerplexity Cometの活用だ。
コネクタを利用することで、CometアシスタントがGmailなどの他社サービスの履歴・記録まで一括検索することが可能になる。自力で何年も前のメール履歴を掘り返すには非常に時間がかかるので、生産性がめちゃくちゃ向上する。
例えば「過去にこのブランドで購入した商品を整理して」などどCometに指示すると、Gmail上の何年も前のメールを遡って検索し、購入履歴を箇条書きで書き出してくれた。
こういった「昔買った服のサイズなんだっけ?」「最後にいつ飛行機使ったっけ?」「北海道旅行で泊まったホテルってどこだっけ?」といった日常生活上の疑問を、AIが瞬時に解決してくれるというのは、思った以上に便利だ。
もちろん、ビジネス用途でも、前回の出張で訪問した先のリストを作成、といった指示が可能で、日常生活から業務まで、幅広いシーンで役立つ。

また、同じくコネクタを有効にしていれば、Googleカレンダーの予定の検索なども可能になる。
自分の予定をCometに説明させたり、またMTGの日程調整を行わせたりすることも可能だ。

コネクタと、Comet Agentを組み合わせることで、予定の空きスロットを見つけた上で、エージェントにカレンダー画面を操作して予定作成・参加者招待まで実行させることも可能だ。

これまでもChatGPTのGPTsを活用してカレンダー操作をチャット上で完結させる、というテクニックはあったが、ここまで高速かつ柔軟に、Google系のサービスをAIエージェントに操作させることができるようになったのは大きな進歩だと感じる。
いよいよ実用的なレベルで、メールやカレンダーの読み取り・書き込みをAIに任せることができるようになりつつある。
面倒な作業の代行:出張&観光ルートプランをGoogleマップで作成する
以上の例はPerplexityのコネクタが主役だったが、よりComet Agentが活躍するシーンの例として、ブラウザ上での複雑なカーソル操作・クリック操作が必要になるオートメーションの例も示しておく。
Googleマップから必要な目的地を見つけ出し、複数の地点を巡るルートマップを作成する、というかなり複雑な作業をCometに委任してみる。
Cometアシスタントを開き、以下のような質問を行ってみた。
「京都の主要な観光地を調べ、Google Mapで1日観光コースを作ってください」

Cometの思考過程を眺めていると、まずはPerplexityお馴染みのウェブ検索を行い、京都の主要な観光地を特定していることがわかる。
そして、次にその訪問順序を検討し、Googleマップ上に経由地としてどんどん追加していく。
この間、筆者は一切マウスを動かしておらず、目的地の順番決め、経由地の追加、ルートと交通手段の選択も、すべてCometが勝手に行ってくれている。

そして、見事に京都の主要な観光地を、効率的に巡るルートマップをCometが作成してくれた。
旅行のプランを考えさせたり、出張先の訪問ルートを作成させたり、Cometアシスタントの応用範囲の広さを感じさせてくれる。
