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MacBook Pro M5 Pro/Maxの全貌:AI性能4倍・SSD速度&容量2倍、ローカルLLMが実用域に

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Appleは2026年3月3日(日本時間3月4日未明)、M5 ProおよびM5 Maxチップを搭載した新しい14インチ・16インチMacBook Proを発表した

予約開始は3月4日、発売日は3月11日で、日本での価格はM5 Pro搭載14インチが369,800円から、M5 Max搭載16インチが649,800円からとなる。

今回の目玉は、Appleが「Fusionアーキテクチャ」と呼ぶ新設計のM5 Pro / Maxチップだ。CPUは最大18コア、GPUは最大40コアに拡張され、前世代のM4 Pro/M4 Maxと比較してAI性能が最大4倍に跳ね上がっている

MacBook Pro本体のデザインに変更はなく、2021年以来のフォルムを踏襲している。しかし、SSD速度が最大2倍に高速化し、最小ストレージがM5 Proで1TB、M5 Maxで2TBに増量されたほか、N1チップによるWi-Fi 7/Bluetooth 6への対応など、中身は着実にアップデートされた。

動画編集や3Dレンダリング、あるいはLLMのローカル実行やAI画像生成を日常的に行うユーザーにとって、MacBook Proが一段と実用性を増したアップデートである。



MacBook Pro本体:変わったところ、変わらなかったところ

今回のアップデートはチップの刷新が主軸であり、MacBook Pro本体のデザイン変更はない。2021年に刷新された現行デザインが引き続き採用されている。

変わったところ

  • SSD速度: 最大14.5GB/sで、前世代比で最大2倍に高速化。4K/8K動画プロジェクトやLLMの読み込みなど、大容量データを扱うワークフローで恩恵がある
  • 最小ストレージ増量: M5 Proモデルが1TB(M4 Proは512GB)、M5 Maxモデルが2TB(M4 Maxは1TB)。いずれも前世代の倍になった
  • N1チップによるWi-Fi 7 / Bluetooth 6対応: Appleが独自設計したワイヤレスネットワークチップ「N1」を搭載。より高速で信頼性の高い無線接続が可能に

変わらなかったところ

  • ディスプレイ: Liquid Retina XDR(MiniLED)、1,600ニトHDRピーク/1,000ニトSDR。Nano-textureオプションも継続
  • バッテリー: 最大24時間。96W以上のUSB-Cアダプタで30分で50%の高速充電が可能
  • カメラ: 12MPセンターフレーム(デスクビュー対応)
  • ポート構成: Thunderbolt 5 x 3、HDMI(8K対応)、SDXCスロット、MagSafe 3
  • スピーカー: 6スピーカーサウンドシステム(空間オーディオ対応)
  • カラー: スペースブラック、シルバーの2色
  • 外観デザイン: ノッチを含め、2021年以降変更なし

OLED搭載やデザイン変更については、M6世代(2026年末~2027年)で実現するとの噂がある。今回はあくまで「中身の大幅強化」に集中したアップデートと言えるだろう。

M5 Pro/M5 Maxの特徴:チップの「作り方」から変えたFusionアーキテクチャ

今回のM5 Pro/M5 Maxで最も注目すべきは、Apple独自の「Fusionアーキテクチャ」と呼ばれる新しいチップ設計だ。

これまでのAppleシリコンでは、標準チップ(M1〜M4)を「Pro」や「Max」にグレードアップする際、ベースとなるチップをそのまま2個分、4個分と束ねることで性能を引き上げていた。いわば「同じエンジンを複数積んで馬力を稼ぐ」方式である。

M5世代では、このアプローチが根本から見直された。Fusionアーキテクチャでは、最初からPro/Max専用に設計された2つの半導体チップを、高度な実装技術で1つに融合する。単に数を増やすのではなく、CPU・GPU・AI処理・メモリ制御といった役割を最適に配分した上で統合する設計だ。

この変更がユーザーにもたらすメリットは明快で、「性能を上げても消費電力やバッテリー持ちを犠牲にしない」というAppleシリコンの強みを維持したまま、Pro/Max級の性能をさらに引き上げられるようになった。

補足
複数のチップを1つに融合する手法自体は、IntelやAMDがPC向けプロセッサで先行して採用している。Appleシリコンとしては今回のM5 Pro/M5 Maxが初の採用だ。Appleのハードウェアテクノロジー担当SVPであるJohny Srouji氏は、「Fusionアーキテクチャにより、パフォーマンス・電力効率・ユニファイドメモリといったAppleシリコンの中核的な強みを維持しながら、能力をスケールさせる」と述べている

CPU:「スーパーコア」登場で効率コアが姿を消す

M5 Pro/M5 Maxは、CPUのコア構成も大幅に刷新された。M4 Proの14コア(10P+4E)、M4 Maxの16コア(12P+4E)に対し、M5 Pro/M5 Maxはいずれも18コアのCPUを搭載する。

注目すべきは、従来の「高性能コア(Pコア)+効率コア(Eコア)」という構成が廃止された点だ。代わりに、以下の2種類のコアで構成される。

  • スーパーコア(6コア): M5(ベースチップ)で初導入されたコアで、Appleは「世界最速のCPUコア」と謳う。フロントエンド帯域幅の増加、新キャッシュ階層、拡張分岐予測が特徴
  • 新しい高性能コア(12コア): マルチスレッド性能を電力効率よく発揮するために最適化された新設計コア。従来の効率コアの役割を実質的に担う

Appleの公称では、マルチスレッド性能がM4 Pro/M4 Maxと比較して最大30%向上し、M1 Pro/M1 Maxとの比較では最大2.5倍に達するとのことだ。

項目M5 ProM5 MaxM4 Pro(参考)M4 Max(参考)
CPU総コア数最大18コア18コア14コア16コア
コア構成6スーパー + 12高性能6スーパー + 12高性能10P + 4E12P + 4E
マルチスレッド向上最大30%(vs M4 Pro)最大30%(vs M4 Max)

推定ベンチマークでは、M5 Proがシングルコア約4,300、マルチコア約32,400、M5 Maxがシングルコア約4,500、マルチコア約32,400と見込まれている。実際のベンチマークはレビュー解禁後に判明する見通しだ。

GPU:各コアに「Neural Accelerator」を内蔵、AI計算性能は4倍以上

GPUも大きく進化した。コア数自体はM4世代と同じ(M5 Pro: 最大20コア、M5 Max: 最大40コア)だが、アーキテクチャが根本的に変わっている。

最大の革新は、各GPUコアに「Neural Accelerator」が内蔵された点だ。これにより、GPUベースのAIワークロードの処理速度が前世代比で4倍以上に跳ね上がっている

項目M5 ProM5 MaxM4 Pro(参考)M4 Max(参考)
GPUコア数最大20コア最大40コア最大20コア最大40コア
Neural Accelerator各コアに搭載各コアに搭載なしなし
グラフィックス性能向上(vs前世代)最大20%最大20%
レイトレーシング向上(vs前世代)最大35%最大30%
AI GPU計算性能(vs前世代)4倍以上4倍以上

このほか、第2世代ダイナミックキャッシング、ハードウェアアクセラレーテッドメッシュシェーディング、第3世代レイトレーシングエンジンも搭載される。

GPUコアにNeural Acceleratorを組み込むというアプローチは、AppleがAIワークロードの処理をGPU側に積極的にシフトさせていることを示している。Neural Engine(16コア)も引き続き搭載されているが、よりGPU主導のAI処理体制に移行しつつあると言えるだろう。

メモリと帯域幅の強化

M5 Proの最大ユニファイドメモリは、M4 Proの48GBから64GBに増量された。M5 Maxは従来通り最大128GBを維持している。

メモリ帯域幅も向上しており、M5 Proが最大307GB/s(M4 Pro: 273GB/s、約12%向上)、M5 Maxが最大614GB/s(M4 Max: 546GB/s、同じく約12%向上)となった。

項目M5 ProM5 MaxM4 Pro(参考)M4 Max(参考)
最大ユニファイドメモリ64GB128GB48GB128GB
メモリ帯域幅最大307GB/s最大614GB/s273GB/s546GB/s

M5 Proの最大メモリが64GBに増えたことで、これまでM5 Maxを選ぶしかなかった「48GBでは足りないが128GBは要らない」というユーザー層にとって、M5 Proが有力な選択肢になる。コスト面でも恩恵が大きいはずだ。

AI性能の飛躍:LLM処理4倍、画像生成は最大8倍に

M5 Pro/M5 Maxの進化で最も実感しやすいのは、AI関連のワークロードでの性能向上だろう。Appleが公表した具体的な数値を整理する。

M5 Pro搭載MacBook Proの公式パフォーマンスデータ:

  • AI画像生成: M1 Pro比で最大7.8倍、M4 Pro比で最大3.7倍
  • LLMプロンプト処理: M1 Pro比で最大6.9倍、M4 Pro比で最大3.9倍
  • 3Dレンダリング(Maxon Redshift): M1 Pro比で最大5.2倍、M4 Pro比で最大1.4倍
  • ゲーミング(Cyberpunk 2077レイトレーシング): M4 Pro比で最大1.6倍

M5 Max搭載MacBook Proの公式パフォーマンスデータ:

  • AI画像生成: M1 Max比で最大8倍、M4 Max比で最大3.8倍
  • LLMプロンプト処理: M1 Max比で最大6.7倍、M4 Max比で最大4倍
  • ビデオエフェクト(DaVinci Resolve Studio): M1 Max比で最大5.4倍、M4 Max比で最大3倍
  • AI動画高画質化(Topaz Video): M4 Max比で最大3.5倍

特にLLMプロンプト処理が前世代比で約4倍になったというのは大きい。

LM StudioなどのアプリでローカルにオープンソースのLLMを走らせる使い方が、ノートブック上でいよいよ実用的になってくる。

M5 Maxの128GBユニファイドメモリと614GB/sの帯域幅があれば、中規模以上のモデルも快適に動作する可能性が高い。

価格と構成オプション:ストレージ増量で実質据え置きか

新しいMacBook Pro M5 Pro/M5 Maxの日本での価格は以下の通りだ。

モデル価格(税込)学生・教職員価格
14インチ M5 Pro369,800円~344,800円~
16インチ M5 Pro449,800円~415,800円~
14インチ M5 Max599,800円~549,800円~
16インチ M5 Max649,800円~599,800円~
14インチ M5(参考)279,800円~262,800円~

米ドルベースでは、M5 Pro 14インチが$2,199~と、M4 Pro 14インチの$1,999~から$200の値上げとなっている。しかし、最小ストレージが512GBから1TBに倍増していることを考慮すると、実質的なコストパフォーマンスはむしろ改善したとも解釈できる。

構成オプションは以下の通りだ。

M5 Pro MacBook Pro:

  • 基本構成: 15コアCPU / 16コアGPU / 24GB RAM / 1TB SSD
  • 最大構成: 18コアCPU / 20コアGPU / 64GB RAM / 4TB SSD

M5 Max MacBook Pro:

  • 14インチ基本構成: 18コアCPU / 20コアGPU / 24GB RAM / 2TB SSD
  • 16インチ最大構成: 18コアCPU / 40コアGPU / 128GB RAM / 8TB SSD

どのユーザーがアップグレードすべきか

今回のMacBook Proは、利用している世代や用途によってアップグレードの価値が大きく異なる。

  • M1/M2世代からの移行: AI性能がM1比で最大8倍、バッテリー駆動時間も最大3時間延長と、あらゆる面で大幅な恩恵がある。特にLLMのローカル実行やAI画像生成を業務に取り入れたいユーザーには、投資に見合うアップグレードだ
  • M3世代からの移行: スーパーコアやNeural Accelerator搭載GPUなど、アーキテクチャの世代差が大きく、AI関連の用途では体感差が出やすい。ストレージ増量やWi-Fi 7対応も地味ながら嬉しいポイント
  • M4 Pro/M4 Maxからの移行: AI性能は3.7~4倍と大きな向上があるものの、CPU/GPUの汎用性能は20~30%の向上にとどまる。AI関連ワークフローが主な用途でなければ、急いで買い替える必要はないだろう
  • Intel Macからの移行: これ以上ない好機だ。Appleシリコンの恩恵を最大限に享受できる
ヒント
これまで「48GBメモリでは少し足りない」と感じていたM4 Proユーザーにとって、M5 Proの最大64GBメモリは朗報だ。M5 Maxに手を出さなくても、十分なメモリ容量を確保できるようになった。

AI時代のプロ向けノートブックとしての立ち位置

今回のMacBook Pro M5 Pro/M5 Maxは、外観こそ変わらないものの、中身は「AIファースト」への明確なシフトを示すアップデートである。

GPUの各コアにNeural Acceleratorを組み込むという設計は、Apple IntelligenceやLLMのローカル実行など、AI処理をデバイス上で完結させるというAppleの戦略を体現している。

M5 Maxの128GBメモリと614GB/sの帯域幅を持つノートブックは、クラウドに頼らずに中~大規模のAIモデルを扱えるプラットフォームとして、エンジニアや研究者にとっても魅力的な選択肢だ。

一方で、デザインやディスプレイの刷新を待っていたユーザーにとっては物足りないアップデートかもしれない。OLEDディスプレイやデザイン変更は、次世代のM6搭載モデルまで待つ必要がありそうだ。

予約開始は3月4日、発売日は3月11日である。購入を検討する場合は、Apple公式サイトで構成オプションを確認できる。

筆者プロフィール画像

この記事を書いた人 kumori

AIツール/アプリ/ガジェットを実際に検証し、具体のユースケースまで噛み砕いて解説しています。

  • 米国の大学院で統計学(修士)
  • Python・Rによるデータ分析
  • マーケティング/広告運用(TV〜Web、数十億規模PJのリード経験)



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