クラウドストレージの最大の課題は、月額・年額で払い続けなければならないサブスクリプション料金だ。Googleドライブであれば2TBで年間13,000円、Dropboxなら2TBで年間14,400円ものお金を、ずーっと払い続けなければならない。
しかも、一度大容量のファイルをクラウドに保存してしまうと、引っ越すのも大変なので、毎年およそ1.5万円を支払い続け、そこから逃れることもできない、という恐ろしい状態に陥ってしまう。
しかし、うまくクラウドを活用できれば、スマホ本体の容量を減らして購入時の端末代を節約できたり、大切なファイルのバックアップを取ったり、家族と簡単に写真・ビデオを共有できたり、メリットも大きい。
本記事では、筆者の実体験とともに、一度の支払いで一生クラウドストレージを使い続けられる「ライフタイムプラン」を持つサービスや、無料でも10GB以上の容量が使えるサービスをまとめて紹介する。
サブスク不要で大容量の有料クラウドから、容量は小さいが無料で長期間使えるサービスまで、5つの選択肢を比較しながら紹介するので、是非とも参考にしてほしい。
| サービス | 料金 | 容量 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| 1. pCloud | 199-1190ドル | 500GB, 2TB, 10TB (無料でも10GB) | ・音楽、写真、ビデオに最適なアプリ ・バージョン履歴、暗号化など機能充実 |
| 2. Ice Drive | 299-1199ドル | 512GB, 2TB, 10TB (無料でも10GB) | ・独自の暗号化アルゴリズム |
| 3. Google Drive | 無料〜 | 15GB | ・無料でもらえるベース容量として最大 |
| 4. Sync.com | 無料〜 | 5〜25GB | ・最大20人紹介で25GBを一生使える ・Office連携、バージョン履歴など機能充実 |
| 5. Mega | 無料〜 | 10GB〜 | ・1人紹介ごとに5GB/年追加される |
1度の支払いで一生使えるクラウドストレージ
多くの人が、GoogleドライブやiCloud、Dropboxなどのクラウドサービスを、少なくとも一つは使ったことがあるだろう。
いずれのサービスも、サブスク制であり、月々の支払いを永遠に続ける必要があり、買い切りプラン・ライフタイムプランは提供されていない。
多くのクラウドサービスが月額制・年額制を敷く中、2社だけ、一度の支払いで一生使えるライフタイムプランを提供している企業がある。
以下では、筆者が実際に使っている「pCloud」と、最近新たに登場した「Ice Drive」を詳しく紹介する。
pCloud – ライフタイムプランを提供するスイス発クラウド
- 買い切りプランを提供する数少ないクラウドストレージサービス(500GB、2TB、10TB)
- 5人まで共有できる家族向けのライフタイムプランも存在(2TB, 10TB)
- 無料プランでも10GBがもらえるので、とりあえずアカウントを作って試せる
- バージョン管理、ファイル共有、アプリ内蔵メディアプレーヤーなど、機能面でも非常に充実
pCloudは、2013年に設立されたスイスを拠点とするクラウド企業である。
筆者自身もずっと使っているサービスで、4年前には実際に2TBのライフタイムプランを購入して、引き続き今日まで愛用し続けている。
pCloudは、無料プランであっても、他のサービスと比較して機能が充実しているのが利点だ。最大10GBまで無料容量をもらえる上に、無課金でも15日前まで遡ってファイル変更履歴を「Rewind」でき、旧バージョンのファイルを復活させる機能などが備わっている。
そしてなにより、クラウド界では非常に貴重な、「ライフタイム」プランを提供する数少ないクラウドストレージサービスの一つである。
ライフタイムプランは500GB、2TB、10TBの3つの容量オプションがあり、それぞれ199ドル、399ドル、1190ドルで販売されている(記事執筆時点)。ちなみに、後から追加で買い足すことも可能なので、10TBを2回購入すれば20TBものストレージが手に入る。

また、追加のオプション(一生涯なら150ドル)として、ゼロ知識暗号化機能(pCloud Crypto)を利用できる。これは、ユーザー側でフォルダにパスワードをかけ暗号化することで、ユーザー以外の誰もフォルダの中身を閲覧できなくする機能だ。
これにより、pCloudの中の人でさえ中身を確認することができず、完全にプライバシーが守られたクラウドストレージを利用できる。

使いやすさの面では、Windows、macOS、Linux向けのデスクトップアプリケーション、iOS、Android向けのモバイルアプリ、そしてウェブインターフェースを提供しており、あらゆるOSからアクセスできる。
Macの場合、Mac Fuseにより外付けドライブとして機能するので、あたかもPC上に存在するストレージかのように使用できる。Windowsでも、同様に仮想ドライブとしてマウントできる。

特筆すべき機能として、pCloudのアプリに組み込まれた内蔵のメディアプレーヤーがある。
クラウド上に保存したmp3などの音楽ファイルを、アプリ上で直接再生でき、プレイリストの作成やシャッフル再生といったミュージックアプリさながらの高機能なプレーヤーとなっている。

また、pCloudは大容量ファイルのアップロードに制限がなく、動画もアプリ内で直接再生でき、再生速度を変更できるなどかなり高機能なので、YouTuberや動画編集者など、大きなファイルを扱うユーザーにも最適だ。
子どもや家族の写真やビデオを、スマートフォンから自動アップロードして、pCloud上で閲覧するようにするのも良いだろう。

筆者は、iPhoneの新しいモデルを購入するときには、最も容量の小さいモデルを購入して、pCloudのアプリで写真・ビデオを自動でクラウドにアップロードするようにしている。
自動アップロードした写真・ビデオは、アプリ内の「端末の空き容量を確保する」ボタンをタップするだけで、端末から一掃できるので、本体の容量が必要ないのだ。
最新のiPhoneなどだと、128GB→256GBにアップグレードするだけで2万円以上がかかることもあるので、pCloudのライフタイムプランを購入した方が絶対にお得だと思う。

無料アカウントでも10GBのクラウドストレージが直ちに利用できるので、GoogleドライブやiCloudの容量がいっぱいになってきて困っている人は、とりあえずアカウントを作ってみてはどうだろう。
Ice Drive – セキュリティが強みの新生クラウドストレージ
- 貴重なライフタイムプランを提供する新興クラウドストレージサービス(512GB、2TB、10TB)
- 有料プランにはエンドツーエンド暗号化による強力なセキュリティ機能が追加料金なしで含まれる
- 無料プランでも10GBがもらえるので、とりあえずアカウントを作って試せる
Icedriveは、2019年に設立された比較的新しいクラウドストレージサービスで、pCloudと同様、貴重なライフタイムプランを提供しているのが特徴である。
但し、一時的にライフタイムプランの新規販売を終了していた時期もあり、常にライフタイムプランを販売してきたpCloudとは対照的だ。
Ice Driveのライフタイムプランは512GB ($299)、2TB ($479)、10TB ($1199)の3つの容量オプションがある。また、既存のライフタイムプラン利用者に「Stack Up」オプションを提供しており、あとで追加の容量を購入することも可能である。

いずれかの有料プランに入ると、「Encrypted」フォルダを利用できるようになる。pCloudの場合には暗号化フォルダの利用には追加料金が必要であったが、この点はIce Driveの方がコストパフォーマンスが高い。

このフォルダは、クライアントサイドで暗号化をするので、Icedrive自身もユーザーのファイルにアクセスすることができない。
他のクラウドサービスの多くが採用している一般的な暗号化プロトコル(AES 256-bit)とは、異なるプロトコル(Twofish)を採用しているのも特徴の一つである。マイナーな暗号化プロトコルを使用しているということは、ハッカーから狙われにくく、セキュリティにより優れていると言える。
Windows、macOS、Linux向けのデスクトップアプリケーション、iOS、Android向けのモバイルアプリ、そしてウェブインターフェースを提供しており、マルチプラットフォームでのアクセスが可能である。
これもpCloudと似ている点だが、Ice Driveの機能として、メディアの直接再生機能がある。音楽や動画ファイルをダウンロードすることなく、クラウド上で直接再生できる。
以下はiOSアプリでIce Drive上に保存した音楽ファイルを再生している様子だ。音楽特化の機能で比べてしまうと、プレイリストなどの機能はなく、pCloudほど音楽周りは充実していない。

他のサービスと比較すると、Ice Driveは価格とセキュリティのバランスが良好だ。pCloudと似たような価格帯でありながら、セキュリティ機能が標準で含まれている点で価格の優位性もある。
2019年に登場したばかりの新興企業であるため、「ライフタイム」プランと言っても、あなたの寿命と、運営企業の寿命のどちらが先に訪れるかには一定の用心が必要だ。
新しい機能が随時追加されているため、今後の開発の進展に引き続き期待しておきたい。
無料プランでも大容量がもらえるクラウドストレージ
ライフタイムプランは魅力的ではあるが、まだ大容量のストレージが必要かどうか迷っており、まずは無料プランから始めたい場合、上で紹介したpCloudやIce Driveの無料プランから使い始めるのも良いだろう。
10GBもの容量がもらえるので、まずは使ってみて、気に入ったら有料やライフタイムプランに切り替えて行くのが理想だ。
pCloudやIce Driveの無料ストレージも10GBと十分大きいが、他社サービスを探してみると、家族や友人に紹介コードを送ることで追加容量がもらえるなど、10GBを超える容量が無料で使えるサービスも存在する。
ここでは、ライフタイムプランは存在しないものの、無料で使える容量や機能が充実しているサービスをいくつか紹介する。
Google Drive – 安定の15GBが永年無料
- 無料で15GBの大容量ストレージを提供
- Gmail、Google DocsやSheetsなど、Googleのオフィスツールと容量が共有
- 強力なリアルタイム共同編集機能、検索機能は、流石に他社を圧倒する
Google Driveは、学校や会社などでアカウントを所有している人も非常に多いであろう。無料アカウントでも、15GBもの大容量のクラウドストレージを提供してくれる。
ただし、多くの人が最初に利用するサービスであり、しかも15GBの容量はGoogleドライブ、Gmail、Googleフォトなどで共有されるため、あっという間に使い切ってしまい、残容量がほとんどない人も多いだろう。

もしあなたが、幸運にもまだGoogleドライブのアプリを使用していないのであれば、間違いなく最初に作るべきクラウドストレージのアカウントであることは間違いない。
Google Driveの特筆すべき点は、Google DocsやSheetsなどの生産性ツールとの緊密な統合である。
ドキュメントやスプレッドシートを、会社や学校の仲間とリアルタイムで同時編集できる機能は、他社には真似できないクオリティだ。

pCloudやIce Driveのようなクライアントサイド暗号化の機能はないので、プライバシー・セキュリティの面では劣る。
また、Gmailをメインのメールアカウントとしている人の場合、Googleドライブの容量を使いすぎると、添付ファイルや過去のメールの削除が必要になるなど、Gmailの使用に支障が出るのが問題だ。
Googleドライブを一度使い始めてしまうと、後から引っ越すのは大変なので、もしGmailを今後も無料でずっと使い続けたい場合は、早めにクラウドは他社のサービスを利用するようにした方が良いだろう。
Sync.com – 5GB無料+友達紹介で最大20GB永年追加
- 1人紹介するごとに1GBが追加され、20人まで紹介が可能
- アカウント全体のエンドツーエンド暗号化による強力なセキュリティ機能
- Microsoft 365と連携しておりWord, Excel, Powerpointファイルを編集可能
Sync.comは、5GBの無料ストレージを提供し、さらに、友人紹介プログラムを利用することで、最大20GBまで無料ストレージを拡張できる。
1度紹介したら、その分の1GBはずっと利用できるので、最大で25GBものストレージを一生涯無料で利用し続けることができる。
紹介は、アカウントの設定からリファラルコードを取得して、URLをメッセージで送ったり、SNSに貼り付けたりすればいいだけだ。友人が多い、フォロワーが多いなど、たくさんの人を紹介できる可能性がある人の場合、有力な選択肢になるであろう。

セキュリティ面では、Sync.comはエンドツーエンド暗号化を採用しており、Sync.com自身も含め、第三者がファイルにアクセスすることはできない。
pCloudやIce Driveは特定のフォルダのみにこれを適用しているが、Sync.comはアカウント全体に適用しているのが特徴だ。非常に高いプライバシーが確保されているが、パスワードを失った場合、アカウントのデータは2度と取り戻すことができない(パスワードリセット機能をオンにしておけば復旧可能)。
また、チームのメンバーによる共同編集や、Microsoft Officeとの連携機能が充実しているのも特徴である。GoogleドライブやOneDriveなどの大手ITが提供するクラウドではないサービスの中で、これだけコラボレーション関連の機能が充実しているのは特筆すべき点だ。
例えば、Sync.com上で新しいOfficeファイルを作ることができる。

無料ユーザーであっても、Office Online上で直接これらのファイルを編集することができる。ExcelファイルをSync.comのブラウザ上で編集できるのはありがたい。

他社のクラウドサービスと同様に、Windows、macOS向けのデスクトップアプリケーション、iOS、Android向けのモバイルアプリ、そしてウェブインターフェースを提供しており、マルチプラットフォームでのアクセスが可能である。
Sync.comの特徴的な機能として、「Vault」と呼ばれる非同期ストレージ領域がある。
Vaultに保存されたファイルは他のデバイスと同期されないため、クラウド上に安全にファイルをバックアップしつつ、自分の他のPCやスマホには同期しない、ということができる。
例えば、iPhoneで写真やビデオをSync.com上にバックアップしておくが、PCでいちいち全ての画像ファイルをダウンロードしたくない時などに役立つ。

Mega – 初年度20GB無料+友達紹介ごとに5GB/年追加
- 無料プランで10GBのベースストレージが付与、アプリダウンロードで初年度+10GB
- 1人招待するごとに5GBの容量が追加されるが、1年間限定
- アカウント全体のエンドツーエンド暗号化による強力なセキュリティ機能
Megaは、無料で比較的大容量のクラウドストレージを提供するサービスとして知られる。かつては無料アカウントに20GBの無料ストレージを提供していたが、最近10GBに減少してしまった。
但し、アプリをダウンロードする、友人を招待するなど条件を達成していくと、1年間限定で5GBの容量が足されていく。
デスクトップアプリとスマホアプリはすぐにダウンロードできるので、実質、初年度の無料ストレージは20GBあることになる。これをずっと維持したければ、年間2人の友人を紹介する必要があるということになる。

セキュリティ面では、Sync.comと同様に、アカウント全体のエンドツーエンド暗号化を採用しており、ユーザーのプライバシーとデータ保護に重点を置いている。
無料プランであっても、30日間のバージョン履歴閲覧機能があるため、間違って上書きしてしまったファイルなどを復活させることが可能である。
ただし、容量は明示されていないが、Megaには月間の転送量制限があり、無料ユーザーがあまりに大容量のファイルをダウンロードしすぎると上限に達してしまう可能性もある。
有料版の価格は、日本円だと2TBの年間プランでGoogleドライブやDropboxの価格を上回ってしまうので、無料容量と暗号化以外には選ぶ理由があまりないかもしれない。
ライフタイムプランで節約できたお金
筆者は、pCloudの2TBのライフタイムプランを、2020年に購入した。
これまで4年間ほど、iPhoneや一眼レフで撮影した写真やビデオをひたすら保存して、あらゆるドキュメントや電子書籍をpCloud上で同期しているが、まだ容量を全然使いきれていない。
買い切りでクラウドストレージを2TB入手することは、初期投資は高いものの、一生壊れることのない2TBのSSDを購入するのに等しい。
外付けのSSDドライブの販売価格や、Dropboxなど大手の年間サブスク料金を考えれば、2〜3年もすれば元が取れてしまうので、やはりライフタイムプランは非常にコストパフォーマンスが高いと感じる。
さらに、大容量のクラウドストレージがあることで、節約できたお金として、
- 新しいMacやiPhoneを買うときに、SSDの容量が小さい安価なモデルを選ぶ
- iPhoneの写真やビデオをpCloudに自動同期することで、iCloudの月額契約を解約
などがある。コストダウン効果は蓄積していき、長い目で見るとより大きなインパクトを持つ。
本記事を参考に、まずは無料プラン、月額プラン、年額プランを組み合わせながら、お気に入りのクラウドストレージを探してみて、自分のニーズにあったサービスを見つけたら、ぜひライフタイムプランの購入を検討してみてほしい。




Googleドライブのデメリットはないが、Googleフォトを一緒に利用した場合、フォトの動画や写真によってはアカウント停止や凍結をうむ結果となる。フォトのアップロードは問題ないけど、フォトのアルバムは危険が高い。
アルバム内で通信(アップロードしたものをアルバムに移す、アルバム間の移動、アルバムから元に戻す、アルバムのフォルダ名)した動画や写真の中身をGoogleフォトのAI及び人力で確認されてしまい、家族写真だろうが子供が映っていると凍結を食らう事がある。
自分の動画や写真を見られたくないならGoogleは選ぶべきではない。
最近、AppleがGoogleと同じような事をし始めているけど、許可する人達大丈夫かな。
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