ChatGPTに質問する。Geminiに相談する。多くの人にとって、AIとの接点は「チャットで会話すること」のみだろう。
ところが、2026年1月12日にAnthropicが発表した「Claude Cowork」は、その常識を根本から覆す可能性を秘めている。
Coworkでは、AIがPC内のフォルダやファイルに直接アクセスし、複数のドキュメントを横断的に理解した上で、ExcelやWordファイルの新規作成まで自動で完遂してくれる。
- 溜まったレシートの写真から経費精算Excelを自動作成
- 医療費の領収書を整理して確定申告の準備を効率化
- 過去の議事録を読み込んで次回会議のアジェンダを生成
- 散らばったメモから報告書やプレゼン資料を一発作成
ユーザーの指示に従い、複雑な作業を全自動で実行する「AIエージェント」。これまではプログラマしか利用できなかった技術が、いよいよ大多数の一般ユーザー・ビジネスパーソンの手に届くところまできた。
本記事では、Claude Coworkの全体像から具体的な使い方、そして安全に活用するためのポイントまでを、初心者にもわかりやすく解説する。会社員・大学生・家庭向けに、コピペで使えるプロンプトテンプレートも多数掲載しているので、すぐに試してみてほしい。
チャットAIしか触れたことのない読者も、この記事を読み終える頃には、Coworkを自分の仕事・研究・勉強にどう活かせるか、具体的にイメージできるはずだ。
実業務を代行する究極のAI「Claude Cowork」の概要
「チャットボット」から「共同作業する同僚」へ
Claude Coworkを一言で表すなら、「ファイルを直接操作できるAIアシスタント」だ。
従来のChatGPTやGeminiとの最大の違いは、単なる「会話相手」ではなく「作業を実行する手足を持つ」点にある。
通常のAIチャットでは、テキストで質問して、テキストが返ってくるだけだ。
たとえば、ChatGPTで企画書の構成案を作るとしよう。まず、関連ファイルの内容をあちこちからコピーしてChatGPTに貼り付ける。返ってきた構成案を今度はWordに貼り付け、書式を整え、保存する。この一連の「コピペ地獄」はすべて人間の仕事だ。
これはチャットというインターフェースの根本的な限界である。入力も出力もテキストの往復に過ぎないため、「情報を集めてAIに渡す」作業と「AIの回答をファイルに落とし込む」作業は、常にユーザーが負担しなければならない。
Coworkの場合は違う。ローカルフォルダへのアクセス権を与えれば、Claudeが既存ファイルを読み込んで経緯や背景を把握し、自動で.docxや.xlsxファイルを生成して保存までしてくれる。
たとえば、レシートの写真が入ったフォルダを指定して「経費レポートを作成して」と依頼する。数分後には、金額の合計やカテゴリ別の集計関数が入ったExcelファイルが出来上がっている。人間がやるのは依頼を出すことだけだ。
Anthropic自身もこの変化を強調している。公式発表では「質問と回答のやりとりというより、同僚にメッセージを残す感覚に近い(It feels much less like a back-and-forth and much more like leaving messages for a coworker.)」と表現している。
「Claude Cowork」の概要:Claudeチャットとの違いは?

Anthropicが開発する「Claude」は、ChatGPTやGeminiと並ぶAIチャットアプリの一つだ。
今回登場した「Claude Cowork」は、Claudeチャットと同じAIモデルを使用しているが、ファイル操作の手足を与えることで、大幅に機能を強化したものだ。
両者の違いを整理すると以下のようになる。
| 観点 | Claude Chat | Claude Cowork |
|---|---|---|
| 性質 | 会話型(質問→回答) | 実行型(依頼→成果物) |
| ファイル操作 | アップロードのみ(30MB制限) | ローカルフォルダに直接アクセス |
| 出力形式 | テキスト(コピペが必要) | 実ファイル(Excel、PowerPoint、Word、PDF) |
| 作業範囲 | 1回の応答で完結 | 長時間の複雑タスクを自律的に処理 |
Claude Codeの料金プラン
Coworkは現在、Research Preview(研究プレビュー)として、以下の有料プランで利用可能だ。
通常のClaudeのサブスクリプションに、Coworkの利用も含まれている。
- Pro : 月額$20(約3,000円)
- Max 5x : 月額$100(約15,000円)
- Max 20x : 月額$200(約30,000円)
- Team / Enterprise : 法人向けプラン
リリース当初はMaxプラン限定だったが、2026年1月16日にProプランにも開放された。さらに1月23日にはTeamおよびEnterpriseプランにも拡大されている。
Proプランでも基本的なCowork機能は利用できるが、複雑なタスクを頻繁に実行する場合は、短時間で上限に達しやすい。Coworkはバックグラウンドでコードを実行するので、通常のチャットよりもトークン消費が激しいためだ。
また、Coworkでは使用するAIモデルを「Opus」「Sonnet」「Haiku」から選択できる。Opusが最も高品質だが、その分トークン消費も大きい。

ファイル名の変更など単純な作業ならSonnetで十分だが、経費精算Excelの作成や、複数資料からの報告書生成といった複雑なタスクでは、Opusを選ぶ方が良い結果が得られる。Maxプランであれば、Opusを使い続けてもかなり余裕があるはずだ。
まずは月額3千円の「Pro」から使い始めてみて、利用頻度が高くなって手放せないと感じたら、Max 5xプラン以上を検討する価値があるだろう。
セットアップガイド:実際にClaude Coworkを使ってみる
対応プラットフォームはMacのみ
「Claude Cowork」という独立したアプリがあるわけではなく、「Claude Desktop」の中にCoworkが含まれている形だ。
現時点で対応しているのはmacOS版のClaude Desktopアプリのみである。Windows版は開発中とのことだが、リリース時期は明らかにされていない。
Webブラウザ版やモバイルアプリでは利用できないため、Coworkを試すにはMacが必須となる。
ステップ1:Claude Desktopアプリをインストール
まず、Anthropic公式サイトからmacOS版Claude Desktopアプリをダウンロードする。
- 公式のダウンロードページにアクセス
- ダウンロードページからmacOS版を選択
- ダウンロードしたdmgファイルを開き、アプリケーションフォルダにドラッグ
すでにClaude Desktopを使用している場合は、最新版にアップデートすればCoworkタブが表示される。

ステップ2:Coworkモードに切り替え
Claude Desktopアプリを起動すると、画面上部に「チャット」「Cowork」「コード」というタブが表示される。
「Cowork」をクリックしてモードを切り替える。

ステップ3:作業フォルダを指定
Coworkの真価を発揮するには、Claudeにローカルフォルダへのアクセス権を付与する必要がある。
Coworkのウィンドウの下部に、「フォルダで作業」というボタンがあるので、それをクリックして、作業して欲しいフォルダを指定する。

Coworkが作業をすることができるのは、ユーザーがこうして許可を与えたフォルダ内のみである。

ここで重要なのは、いきなり「書類」フォルダ全体や「デスクトップ」を指定しないことだ。
AIにファイル名を整理された結果、大事なファイルの置き場所がわからなくなってしまったり、重要なファイルをうっかり削除してしまったり、初心者が権限を与えすぎると事故の元になる。
まずは専用のテスト用フォルダを作成し、そこにアクセス権を与えることを強くおすすめする。Coworkに慣れてから、必要に応じてアクセス範囲を広げればよい。
推奨:専用ワークスペースの作成
効率的、かつ安全にCoworkを使うために、以下のようなフォルダ構成を用意しておくと便利だ。
claude-workspace/
├── inbox/ # Claudeに処理させたいファイルを入れる
├── processed/ # 処理済みファイルの移動先
├── outputs/ # Claudeが生成したファイルの保存先
└── reference/ # 参照用の資料(Claudeは読むが編集しない)

Coworkへの最初のプロンプトで、この構成をClaudeに伝えておくと、以降はフォルダ構造を理解した上で行動してくれる。
例えば、以下のようなプロンプトを与える。
inboxフォルダには処理対象のファイルが入っています。
処理が終わったらprocessedに移動してください。
新しく作成するファイルはoutputsに保存してください。
referenceフォルダは読み取り専用。編集は禁止です。
このプロンプトを与えると、Coworkがフォルダ内を探索し、Inboxなどのサブフォルダに何が入っているかを確認してくれる。

これにより、「inboxにファイルを入れる→Claudeに処理を依頼→outputsで結果を確認」というシンプルなワークフローが確立できる。
また、書き換えられたり削除されたりすると困る重要な参考資料は、referenceフォルダ内で保護される。
Coworkで何ができるのか:Coworkの基本的な使い方
マインドセットの転換:チャットボットから「作業依頼」へ
Coworkを使い始めるにあたって、最も重要なのはマインドセットの転換だ。
従来のチャットAIでは、「質問する→回答をもらう→コピペして使う」という流れが基本だった。
しかしCoworkでは、「完成形を依頼する→離れて別の作業をする→戻ってきたら成果物ができている」というスタイルになる。
Claudeにタスクを依頼する
実際の使い方は驚くほどシンプルだ。やりたいことを自然言語で伝えるだけでいい。
たとえば、デスクトップやダウンロードフォルダが散らかっているなら、以下のようなプロンプトを打ち込む
このフォルダの中身を以下のように整理してください。
- ファイルの種類ごとにサブフォルダを作成
- 「download」や「IMG_」など意味のない名前のファイルは、内容を見て適切な名前に変更
Claudeはこのタスクを受け取ると、まず計画を立て、一つずつ実行していく。右側のサイドバーには進捗状況がリアルタイムで表示される。
裏側では、Claudeがシステムコマンドを実行し、フォルダの作成やファイルの移動を実行してくれている。

実行前の確認と介入
Coworkでは、Claudeが重大なアクション(特にファイルの削除)を行う前に確認を求めてくる。「30個の重複ファイルを削除していいか?」といった形でリストを提示し、ユーザーの許可を待つ。

また、タスクの途中で方針を変更したくなった場合も、追加のメッセージを送信することで軌道修正が可能だ。
たとえば「やっぱりPDFファイルは別フォルダにまとめて」と指示すれば、Claudeは現在の作業を調整してくれる。
これは、Anthropicが強調する「ステアリング(舵取り)」機能だ。AIに完全に任せるのではなく、人間が監督しながら進められる設計になっている。
Coworkでの作業依頼のコツ:確認すべき3つのポイント
タスクを依頼する前に、以下の3つの質問に答えられるか確認しよう。
プロンプトが的確であればあるほど、Coworkの作業も完璧に近づく。
1. ゴールは明確か?
曖昧な指示でも、Claudeは「空気を読んで」それっぽく実行してくれるが、もし完成形のイメージがあるのであれば、可能な限り言語化して伝えておく。
| 曖昧な依頼 | 具体的な依頼 |
|---|---|
| 「経費レポートを作って」 | 「日付・店名・金額・カテゴリの列を持つExcelを作成。日付順にソートし、カテゴリ別の合計を最下部に追加して」 |
2. Claudeが知らない重要な前提は?
- 作業前に見ておくべきファイルの保存場所(例:「議事録はxxフォルダに入っている」)
- 社内でのファイルの命名規則(例:”20260101_file_name”という命名規則に従って」)
これらを伝えなければ、Claudeは推測しながら進んでいく。見なくてもいいファイルを見に行って、無駄に時間がかかるかもしれない。
既に決まっている前提は、できるだけ教えてあげたほうが、作業のスピードも正確性も上がる。
3. Claudeにやって欲しくないことは?
- 「ファイルは削除しないで、移動だけにして」
- 「過去90日以内のファイルだけ処理して」
Claudeは言語化されていない制約を読み取れない。特に「何も削除しないこと」は、安全のために含めることを推奨する。
実践ユースケース&プロンプトテンプレート集
以下は、Coworkが得意とするユースケースと、そのまま使えるプロンプトテンプレートだ。
デスクトップの整理整頓から、レシート画像を読み取っての経費精算、打ち合わせのアジェンダ・資料の作成まで、これまで膨大な時間がかかっていた作業が、Claudeによって瞬時に実行されていく。
自分の業務や生活に当てはまるものがあれば、角括弧内を書き換えて、ぜひ試してみてほしい。
会社員向けのプロンプトテンプレート集
経費精算:レシート画像からExcel作成
溜まったレシートをスマホで撮影してフォルダに入れておけば、あとはClaudeに丸投げできる。日付、店名、金額、カテゴリを画像から自動抽出し、集計関数入りのExcelファイルを生成してくれる。
このフォルダのレシート画像から経費精算用のExcelを作成して。
必要な列:日付、店名、金額、カテゴリ(交通費/会議費/消耗品など)
日付順にソートし、カテゴリ別の小計と総合計を最下部に追加して。
読み取れなかった画像があれば「要確認」シートに画像名をリストして。
outputsフォルダに保存して。
議事録から次回アジェンダ+宿題リスト作成
過去の議事録を複数読み込ませて、次回会議の準備を自動化する。未解決の議題、持ち越し事項、宿題の担当者と期限まで、Claudeが横断的に整理してくれる。
このフォルダの議事録をすべて読んで、次回MTG用の資料を作成して。
作成してほしいもの:
1. 次回アジェンダ(未解決の議題、持ち越し事項を含む)
2. 宿題リスト(担当者・期限・関連する議事録の日付を明記)
3. 前回までの主要な決定事項サマリー
Word形式でoutputsフォルダに保存して。
複数資料から報告書・提案書を自動作成
散らばったメモや資料から、上司やクライアントへの報告書を生成する。スライドの構成から内容まで、Claudeが考えて形にしてくれる。
このフォルダの資料をすべて読んで、
[週次報告書/プロジェクト提案書/調査レポート]を作成して。
構成:
1. エグゼクティブサマリー(1ページ以内)
2. 現状と課題
3. 提案内容または進捗
4. 今後のアクション
対象読者は[上司/クライアント/経営層]。
PowerPoint形式で、1スライド1メッセージを意識して。
名刺画像から連絡先リスト作成
展示会や営業で集めた名刺の山を、Excelの連絡先リストに変換する。OCRで手入力の手間がゼロに。
このフォルダの名刺画像から連絡先リストを作成して。
列:会社名、部署、役職、氏名、メールアドレス、電話番号、住所
会社名の五十音順でソートして。
読み取りに自信がない項目は「?」を付けて。
Excel形式でoutputsフォルダに保存して。
大学生向けのプロンプトテンプレート集
授業ノート・配布資料の統合まとめ
複数回の授業資料やノートを、試験前に一気に整理する。重要概念の定義一覧や、授業間のつながりまで整理してくれるので、試験対策が捗る。
このフォルダの授業ノートと配布資料をすべて読んで、
試験対策用のまとめノートを作成して。
構成:
1. 各回の授業の要点(箇条書き)
2. 重要な概念・用語の定義一覧
3. 授業間のつながり・全体の流れ
4. 試験に出そうなポイント(推測)
Word形式で保存して。
レポート・論文の構成案と参考文献整理
書きたいテーマに関する資料から、レポートの骨子を作る。参考文献リストや引用候補まで自動で整理してくれる。
このフォルダの資料を読んで、
[テーマ]についてのレポート構成案を作成して。
必要なもの:
1. 序論・本論・結論の構成案(各セクションで書くべき内容)
2. 参考文献リスト(著者、タイトル、出版年、ページ数を含む)
3. 各資料から使えそうな引用候補(ページ番号付き)
Word形式で保存して。
ゼミ発表用スライド作成
研究ノートや論文メモから、発表スライドを自動生成する。構成を指定すれば、内容を埋めたPowerPointファイルが出来上がる。
このフォルダの資料を元に、ゼミ発表用のスライドを作成して。
スライド構成:
1. タイトル・発表者名
2. 研究の背景と目的
3. 先行研究の整理
4. 研究方法
5. 現時点での結果・考察
6. 今後の課題
7. 参考文献
10〜15枚程度で。PowerPoint形式で保存して。
生活・家庭向けのプロンプトテンプレート集
家計簿作成:レシートから月別収支表
家計管理も、レシート画像を撮っておけばClaudeが自動集計。月別シートとカテゴリ別グラフまで作成してくれる。
このフォルダのレシート画像から家計簿を作成して。
列:日付、店名、カテゴリ(食費/日用品/交通費/娯楽/その他)、金額
月別シートに分けて、各月の末尾にカテゴリ別集計を追加して。
支出が多いカテゴリを可視化するグラフも作成して。
Excel形式で保存して。
旅行計画:予算表とスケジュール作成
旅行の下調べメモやスクショから、日程表・予算表・持ち物リストを一発作成。計画段階の面倒な作業をまるごと任せられる。
このフォルダの資料(メモ、スクリーンショット、パンフレット画像)を読んで、
[行き先]旅行の計画表を作成して。
必要なもの:
1. 日程表(日付、時間、場所、アクティビティ、移動手段)
2. 予算表(交通費、宿泊費、食費、入場料、お土産代の見積もり)
3. 持ち物チェックリスト
4. 予約が必要なものリスト(予約済み/未予約のステータス付き)
Excel形式で、シートを分けて保存して。
確定申告用の書類整理
医療費の領収書を整理して、申告準備を効率化する。控除対象かどうかの判定まで任せられる。
このフォルダの領収書・明細画像から、確定申告用の集計表を作成して。
作業内容:
1. 医療費の明細一覧(日付、医療機関名、内容、金額)
2. 医療費控除の対象かどうかを判定して列に追加
3. 対象金額の合計を計算
4. 読み取れなかった書類は「要確認」リストに記載
Excel形式で保存して。
写真の整理:イベント別フォルダ分け
スマホから取り込んだ大量の写真を、自動でイベントごとに整理する。従来のファイル整理ツールと違い、写真の「中身」を見て判断してくれるのがポイントだ。
このフォルダの写真を整理して。
作業内容:
1. 写真の内容を確認して、イベントや場所ごとにサブフォルダを作成
2. フォルダ名は「YYYY-MM_イベント名」の形式で
3. 明らかに失敗している写真(ブレ、真っ暗など)は「削除候補」フォルダに移動
4. 何を整理したかのサマリーをテキストファイルで作成
何も削除しないこと。移動のみ。

汎用テンプレート
ファイル整理(万能版)
散らかったフォルダをAIに整理してもらう基本形。ファイルの「中身」を見て分類してくれるので、拡張子やファイル名に依存しない整理が可能だ。
このフォルダ内のすべてのファイルを整理して。
ルール:
- [プロジェクト名/種類/日付]ごとにサブフォルダを作成
- ファイル名を「YYYY-MM-DD_内容がわかる名前」に変更
- 何も削除しないこと
- 何をどこに移動したかをまとめたサマリーを作成
サマリーはテキストファイルでoutputsに保存して。
複数ドキュメントの比較・統合レポート
会議メモ、インタビュー記録、アンケート結果など、複数のドキュメントを横断的に分析する。単なる要約ではなく、共通点や矛盾点を発見し、統合的なレポートを生成してくれる。
このフォルダ内のドキュメントをすべて読んで、比較レポートを作成して。
必要な内容:
1. 各ドキュメントの要約(1〜2文)
2. 共通している点
3. 矛盾または異なっている点
4. 結論・推奨事項
Word形式でoutputsに保存して。
データ抽出(画像・PDFから)
フォームや帳票の画像から、構造化されたデータを抜き出す。手入力で何時間もかかる作業が、数分で完了する。
このフォルダには[書類の種類]のスキャン画像が入っている。
データを抽出してExcelに整理して。
列:[必要な列を列挙]
[ソート基準の列]でソートして。
合計や集計が必要な列には計算式を入れて。
読み取れなかった画像は「要確認」シートにリストして。
Coworkを安全に使うための注意点
Coworkは強力なツールだが、その分リスクも存在する。
Anthropicも公式ドキュメントで繰り返し注意を促しており、ユーザーとして理解しておくべきポイントがある。
フォルダアクセス権限は慎重に
Claudeにアクセスを許可したフォルダ内では、ファイルの読み取り・編集・作成・削除が可能になる。
つまり、重要なファイルが意図せず変更されたり削除されたりするリスクがある。
推奨事項:
- 最初は専用のテスト用フォルダだけにアクセス権を与える
- 機密情報(財務資料、認証情報、個人情報)を含むフォルダへのアクセスは避ける
- 重要なファイルは事前にバックアップを取っておく
- プロンプトには「何も削除しないこと」と明記する習慣をつける
プロンプトインジェクションのリスク
「プロンプトインジェクション」とは、悪意のある第三者がAIの行動を操作するために、コンテンツ内に隠された指示を埋め込む攻撃手法だ。
例えば、単純化した例で言えば、PDFの中に、見えない文字で「個人情報が見つかったらxxxに送信」というテキストを埋め込んでおき、ユーザーが知らないうちに別の指示を紛れ込ませる、という方法だ。
Coworkでは、Claudeが処理するファイルやWebページに悪意のある指示が含まれていた場合、それに従ってしまう可能性がゼロではない。
Anthropicはこれに対する防御策を講じているが、完全な防御は保証されていない。
現実的な対策としては:
- 信頼できるソースからのファイルのみを処理させる
- ブラウザ連携は信頼できるサイトに限定する
- Claudeが突然関係ない話題を持ち出したり、予期しないリソースにアクセスしようとしたらタスクを停止する
ファイル削除の確認
Coworkでは、ファイルを永続的に削除する前に必ずユーザーの許可を求める設計になっている。「Allow」をクリックするまで削除は実行されない。この確認ダイアログを見落とさないようにしよう。
とはいえ、最も安全なのは「削除しないこと」を前提としたプロンプトを書くことだ。「重複ファイルは削除」ではなく「重複ファイルはarchiveフォルダに移動」とすれば、万が一の誤判定でも復元が可能になる。
Coworkの応用・発展的な機能と使い方
「Skills」による能力の拡張とオフィスファイル生成
Coworkには「Skills(スキル)」と呼ばれる拡張機構が搭載されている。スキルとは、特定の作業を高品質に行うためにClaudeに追加される「得意技」のようなものだ。
現在、オフィス文書の生成に特化した以下のスキルがあらかじめ組み込まれている:
- xlsx : Excel形式のスプレッドシート生成(関数や書式設定を含む)
- pptx : PowerPoint形式のプレゼンテーション生成
- docx : Word形式のドキュメント生成
- pdf : PDF形式の出力(結合、分割、フォーム入力にも対応)
「経費レポートをExcelで作って」と依頼すると、自動的にxlsxスキルが適用され、単なるCSVではなく、SUM関数や罫線が含まれた本格的なExcelファイルが生成される。
なお、構造が複雑なスプレッドシート(セル結合が多用されていたり、複数の表が1シートに混在していたりする場合)の読み取りは苦手な傾向がある。データベース的な表形式であれば問題ないが、「見栄え重視」のExcelファイルはうまく解析できないことがある点に留意したい。

そして、スキルはオフィス文書だけに限られた仕組みではない。
Pro・Max・Team・Enterpriseプランでは、ユーザーがオリジナルのスキルを作成することもできる。Claudeに新規スキルを作成させることもできるので、専門知識がなくとも拡張可能だ。
たとえば、自社のブランドガイドライン(ロゴ配置、配色ルール、フォント指定など)をスキルとして定義しておけば、Claudeが資料を作成する際に自動的にそのルールを参照する。チームや組織で共有すれば、誰が依頼しても一貫したアウトプットが得られるようになる。
Claude in Chromeとの連携
Claude Desktopに加えて「Claude in Chrome」拡張機能をインストールすると、CoworkがWebブラウザを操作できるようになる。
Claudeがタブを開き、ページをスクロールし、ボタンをクリックし、フォームに入力する——すべて自動で行える。
たとえば、以下のようなタスクが可能になる:
- Gmailのメルマガ配信停止手続きを自動化
- 複数のWebサイトから情報を収集してローカルファイルに保存
- Webフォームへの一括入力
ただし、ブラウザ操作の動作は遅めである。今のところ、人間が手動で行うよりも時間がかかることが多いため、指示を出したあと昼ごはんを食べに行く、というくらいの気軽な使い方の方が向いている。

サブエージェントによる並列処理
複雑なタスクを依頼すると、Claudeは自動的に複数の「サブエージェント」を起動して並列処理を行う。
たとえば、10個のドキュメントを分析する場合、1つずつ順番に処理するのではなく、複数のサブエージェントが同時に作業を進め、最後に結果を統合する。
これにより、単純計算で数十分かかるはずのタスクが数分で完了することもある。ユーザー側で特別な設定は不要で、Claudeが自動的に並列化の判断を行う。
並列処理を明示的に指示したい場合は、以下のようなパターンが有効だ。
| パターン | プロンプト例 |
|---|---|
| ベンダー比較 | 「この4社についてサブエージェントを立ち上げて並列でリサーチし、最後に比較表にまとめて」 |
| 多角的分析 | 「この意思決定について、財務影響・顧客体験・運用リスクの3つの観点から並列で分析し、統合レポートを作成して」 |
| 大量ドキュメント処理 | 「この50件のインタビュー記録をサブエージェントで並列処理し、テーマを抽出して1つのレポートにまとめて」 |
サブエージェントはそれぞれ独立したコンテキストを持ち、ファイルシステムへのフルアクセス権を持つ。ただし、処理中は他のサブエージェントと情報共有せず、最後の統合フェーズでメインエージェントが結果をまとめる仕組みになっている。
コネクタ(外部サービス連携)
Coworkでは「コネクタ」機能を通じて外部サービスとの連携が設定できる。Notion、Asana、HubSpotなど、Anthropicが審査した多数のコネクタがコネクタディレクトリで公開されている。
ただし、研究プレビュー段階では以下の制限がある:
- GSuiteコネクタ非対応:公式ヘルプによると、CoworkではGSuiteコネクタ(Gmail、Googleカレンダー、Google Drive)に対応していない。Claude Chat側で有効化済みでも、Coworkからは利用不可
- 動作の不安定さ:一部のコネクタで403エラーが発生するケースが複数報告されている。接続済みと表示されても実際には機能しない場合があり、再接続で解決することもある
設定画面からコネクタの一覧を確認し、必要なものをインストール・有効化できる。

自分がよく利用するサービスのコネクタがあれば試してみると良いが、現時点では動作が不安定な場合があることを念頭に置いておこう。
「Claude Cowork」は、AIツールの「本命」
エンジニア専用だった体験が、すべての知識労働者に開放される
「Claude Cowork」の技術的なルーツは、エンジニア向けプログラミングツール「Claude Code」にある。
Claude Codeは2025年にリリースされ、AIエージェントが自律的にコードを書き、テストを実行し、本番レベルのアプリケーションを構築するツールとして開発者の間で急速に普及した。あまりにも強力だったため、多くのユーザーがプログラミング以外——フォルダ整理、ドキュメント作成、表計算——にも使い始めた。
この現象に着目したAnthropicが、非エンジニアでも同じ体験を得られるよう再設計したのがCoworkだ。ちなみに、Coworkの開発自体もClaude Codeを用いてわずか2週間で構築されたという。AIでAIツールを作る——SFのような話だが、これが現実である。
「助言者」から「実行者」へ
これまでのチャットAIは、どれだけ優秀でも「助言者」の域を出なかった。回答を受け取った後、ファイルの作成も整理も保存も、すべてユーザー自身の手作業だった。
Coworkはこの境界を越える。ファイル整理、経費レポート作成、資料の統合と要約、プレゼンテーション生成——こうしたタスクを「依頼」し、「完成物を受け取る」スタイルに変えられる。知的労働の一部を、文字通り委託できるのだ。
Coworkの機能が成熟して、日本企業の現場にも浸透していけば、ホワイトカラー職の働き方を大きく変えてしまうだろう。
現時点ではResearch Previewであり、macOS限定、セキュリティ上の注意も必要で、万人に勧められる段階ではない。しかし、AIエージェントを実際に体験し、自分のワークフローにどう組み込めるかを探るには絶好の機会だ。
まずは専用フォルダを作成し、ダウンロードフォルダの整理のようなシンプルなタスクから始めてみてほしい。Claudeがファイルを移動し、リネームし、分類していく様子を眺めれば、これが単なるチャットの進化版ではないことが、すぐにわかるはずだ。
