2025年7月31日、Claude のスマホアプリに、ひっそりと便利な新機能群が追加された。
メールやメッセージの下書き・送信、カレンダーの予定の作成を、Claudeとのチャットの中で行うことができるようになったのだ。
Claudeのアプリは定期的にアップデートされているが、具体的にどのような機能が実装されたのか、App Store のリリースノートを見てもほとんど分からない。

今回のアップデートも、殆ど誰も気付かなかったのではないだろうか。Anthropic のXアカウントで、ひっそりとこれらの機能追加が発表されていた。
本記事では、そんなClaudeのスマホアプリの新機能で何ができるのか、実際のチャット画面とともに解説していく。
Claude アプリからカレンダーの予定をワンタップで作成
今回のアップデートで、Claude とのチャットの中で、iCloudカレンダーやGoogleカレンダーに予定を追加するボタンを作ってくれるようになった。
実際にカレンダー予定を作成するまでの流れを、実際のプロンプトとともに解説する。
まずは、8月に行われるイベントの予定をClaudeに調べてもらった。
8月に東京で行われる大きな飲食イベントを調べてください

リストアップしてくれた様々なイベントの中から、興味のあるものを選んで、カレンダーのイベント招待に変換するように指示をする。
東京ドームシティのイベントの3日目に参加したいので、Googleカレンダーの予定を追加して下さい
すると、Claude が日付・時刻・場所・概要などを自動で作成したカレンダーイベントを作成してくれるので、「カレンダーに追加」をタップするだけで、カレンダーに予定を追加できる。

「カレンダーに追加」をタップすると、iPhoneの場合は、カレンダーアプリの新規予定作成画面に遷移する。
予定のタイトル、場所、時間がClaudeによって自動入力されており、ちゃんと実際のイベントの日時・場所と一致している。
ここから、参加依頼の受信者を追加すれば、友人にカレンダーイベントの招待まで送信することが可能だ。

Claude にメール・メッセージの下書きを作成してもらう
また、カレンダーの予定だけでなく、メールやメッセージの下書きを作成させることも可能になった。
iPhoneの場合は、Claude の作成してくれたドラフトを、ワンタップで iMessage で送信したり、各種メールアプリで送信したりすることができる。
例えば、先ほどのチャットから続けて、イベントに友達を誘うためのメッセージの文案を作成してもらう。
この予定に友達を誘いたいのでメールの文案を用意して
このプロンプトだけで、Claude がメールの件名や本文を瞬時に生成してくれる。

カレンダーの場合と同様、「メール送信」ボタンが現れるので、これをタップするだけで、OS標準のメールアプリ・メッセンジャーアプリから送信できる。

iPhoneの場合には、「メール送信」ボタンをタップすると、共有メニューが開き、どのメールアプリ・メッセンジャーアプリに移動するかを選べる。

試しに、iMessageを選択してみると、宛先だけ指定すれば直ちに送信できるよう、メッセージの作成画面に遷移する。
本文は、すべてClaudeが書いてくれたメールを送れば良いだけなので、自分でメールやメッセージを書く手間を省くことができる。

PC版 Claude や ChatGPT / Gemini でも同じ機能を使う裏技
今回のClaudeのアップデートは、カレンダー予定作成・メール下書き機能が、誰でも使いやすいように分かりやすいビジュアル付きで実装されたのが嬉しいところ。
ただし、同様のことは、プロンプトを工夫すれば従来も実施できた(簡素版)。
そもそも、Googleカレンダーなどは、カレンダーの予定の詳細を、URL形式で表現することが可能だ。
以下のように、URLにイベント名などを埋め込んでURL化すると、これをクリックした人が自分のカレンダーにイベントを追加できるのだ。
https://calendar.google.com/calendar/render?
action=TEMPLATE
&text=イベント名
&dates=開始日時/終了日時
&details=説明
&location=場所
&add=guest1@example.com,guest2@example.com
ということは、ClaudeやChatGPT、GeminiなどのAIに、直接「この予定をGoogleカレンダーに追加するためのリンクを作成してください。」と指示をすれば、クリッカブルな予定リンクは瞬時に作成できる。
試しに、Claude の場合と同様、ChatGPTに東京の飲食イベントを調べさせ、それをGoogleカレンダーに追加するリンクを作らせてみた。

「Googleカレンダーに追加する」をクリックすると、以下のようにカレンダーの予定作成画面に遷移した。

したがって、今回の一連の機能は、UIとしてはモバイル版Claudeのみに実装されているが、同じことはPC版のClaudeや、他のAIチャットアプリでも使えるということだ。
ちなみに、メールの下書きについても、以下のようなURL形式で表現可能なので、カレンダー同様にすべてのAIアプリで実行可能である(以下はGmailの例だが、Gmail以外でも動作する汎用的な形式も存在)。
https://mail.google.com/mail/?view=cm&fs=1&to=宛先
&su=件名
&body=本文
&cc=CCアドレス
&bcc=BCCアドレス
Claude の新機能はどのように実装されているのか
PC版のClaudeアプリで、先ほどスマホで予定を作成したチャットを見ると、ClaudeがどのようなToolを組み合わせてカレンダーの予定を生成したのかを確認できる。
ユーザーからカレンダーの予定を追加するように頼まれると、Claudeは、まずuser_time_v0
というツールを使い、ユーザーの現在時刻を取得している。
その上で、event_create_v0
というツールを呼び出し、JSON形式で予定のタイトルや場所、日時情報を整理している。

これらのuser_time_v0
や、event_create_v0
などのツールが、今回のアップデートで追加された新機能ということだろう。
なお、メッセージの下書きについても、message_compose_v0
というツールが呼び出されていることがわかる。

単純だがスマホアプリの使いやすさが向上する良アプデ
Claude とのチャットの中で知った・見つけた情報を、友達や同僚、家族にサクッとシェアしたいことが度々ある。
これまでは、チャットスレッドの公開機能を使って履歴を丸ごと送りつけるか、自分でコピペ&要約してメッセージを作成・送信する必要があった。
今回のアプデートのおかげで、Claudeに「これを同僚に送るメッセージとして要約して」などと指示すれば、瞬時にシェアするのに適したメッセージの下書きが完成する。
いちいちLINEにコピペする、といった手間が省けるので、地味に便利なアップデートだ。
また、ヘビーユーザーの場合、Claude などのAIアプリを多用しているうちに、本当に専属の秘書のように、自分のタスクの一部を Claude に管理させているような状況になっている人も多いのではないだろうか。
そのようなユーザーにとっては、Claude に「明日の朝9時の打ち合わせについて、カレンダーの招待を出したい」などと言うだけで、同僚に送るカレンダーイベントを瞬時に作成できるのは、結構革命的である。
こうした機能追加によって、ClaudeのようなAIアプリが日常の隅々まで浸透してくると、かつてはLINE、カレンダー、ブラウザなど様々なアプリを縦断して行動していた人々が、スマホを開くと常にClaudeアプリを起点に行動している、というような時代もやってきそうだ。