近年、AIの発展により、Web検索の在り方が大きく変わりつつある。
人間が検索キーワードを考えて、Google検索に入力するという伝統的な方法から、 会話文等の 自然言語でAIに質問を投げかけると、AIが検索キーワードを考案し、検索行為までも代行してくれるサービスが登場している。
中でも注目を集めているのが、2022年に登場したAI検索エンジン「Perplexity AI」だ。
Perplexity AIは、ユーザーの質問の意図を理解し、情報のソースを明示しながら、最新かつ信頼できる情報を提供してくれる。
しかも、最新のAnthropicのClaude 3 Opusや、OpenAIのGPT-4などの非常に高レベルな大規模言語モデルがPerplexityにも搭載されていることで、仕事や研究、勉強などで必要になるリサーチや資料作りのタスクを、かなりの程度代替できるレベルに達しつつある。
また、Perplexityのとある設定をいじると、検索機能を無効にして、本来はChatGPT PlusやClaude Pro Planなど、各社の月額20ドルする有料プランを契約しなければ使用できないはずの最新モデル(GPT-4 Turbo, Claude 3 Opus)を、無制限に使用できてしまう裏技も存在する。
本記事では、Perplexity AIの特徴やメリット、具体的な使い方について詳しく解説する。
Perplexityの基本利用料は無料で、気軽に試すことができるので、AIを活用した新しい検索体験をぜひ味わってみてほしい。
ただやはりPro版の方が、GPT-4 TurboやClaude 3 Opusなどの非常に高性能なLLMが回答を生成してくれるため、圧倒的に検索結果の質は高くなる。Pro版が10ドル割引される紹介コードもあるので、せっかくならば、Perplexity Pro Planを実際に使ってみて、検索×最新生成AIモデルの真の力を体感して欲しいところだ。
一度使うとChatGPTには戻れない?Perplexityの特徴
最近では、OpenAIのChatGPTや、AnthropicのClaude、またはGoogleのGeminiなど、たくさんのAIサービスが登場している。
それぞれ、それなりに性能の高いAIモデルであって、どのサービスを使っても、ライトユーザーにとってはあまり違いがないかもしれない。
その点、Perplexityは非常に特徴的な機能を備えており、他のAIモデルに比べてPerplexityの優位性が目立つ点も多い。
筆者自身も、様々なタスクにChatGPTを使いつつ、特にWeb検索や情報収集を行う際にはかなりの頻度でPerplexityのPro版を利用するようになった。
AIが問いかけの背景・意図を理解して回答
Perplexity AIは、キーワードベースの検索ではなく、自然言語での質問に対応している。
しかも、その検索結果を、最新のAIモデルが分かりやすく要約して、まとめてくれるのが最大の特徴だ。
ユーザーが日常会話のように質問を投げかけると、AIが質問の意図を理解し、AIが検索を行って、結果を要約して適切な情報をユーザーに表示してくれる。
例えば、「アップルって何?」という様々な意味があるような質問をしてみると、複数の可能性を検討して、果物のリンゴ、企業のApple、また英単語について、簡潔にまとめた結果を回答してくれる。
従来の単純なWeb検索だと、「アップル」で検索して順位が上の方に出てきたページに載っている情報を一つ一つしらみつぶしにチェックしていくしかなかったところ、その作業をAIが代行してくれるというわけだ。
Perplexity AIは、単に答えを提示するだけでなく、自然言語を使って分かりやすく説明してくれる。
複雑な概念も、AIが噛み砕いて説明するので、トピックについて深く学ぶことができるし、ちょっとしたレポートに基礎情報などとして掲載するくらいなら、ほぼ書き換えずに使えるレベルの回答が得られることもある。
有料版のPro Planでは、さらに高精度のPro Searchが1日300回も利用でき、さらにPerplexityの検索機能が強化される。Pro Searchの詳細は後述する。
大規模言語モデルの最大の欠点・リアルタイム性を克服
上述のような自然言語による対話だけであれば、ChatGPTなどの既存のAIサービスでも実行できるように思える。
しかし、ChatGPTなどの大規模言語モデルは、その性質上、学習に使われたデータの範囲でしか回答することができず、「今日」起きた情報に関する回答などは、通常のAIは行うことができない。
Perplexityは、その点を克服したサービスである。
Webをリアルタイムにクロールし、常に最新の情報にアクセスできる。ニュースや時事問題など、タイムリーな話題についての情報収集に適している。
しかも、Webサイトだけでなく、学術ジャーナル、業界レポート、ソーシャルメディアの議論など、多様な情報源にアクセスすることができる。
Perplexityで質問を投げる際に、学術論文に検索対象をフォーカスしたり、YouTubeやRedditなどのSNS上の情報を使ったり、Wolfram|Alphaを使ったり、具体的な検索対象のフォーカスを指定することができるのである。
ネットでリアルタイムで発生しているSNS上の議論なども含め、あるトピックについて、幅広い視点からの情報を得ることができる。
情報ソースの明示と確認
Perplexity AIは、回答を出力する際に、提供している情報の出所を明示する機能が備わっている。
回答の中で参照した情報源へのリンクを表示するので、気になるリンクがあればクリックして即座にソースのページを確認できることから、人間が情報の信頼性をダブルチェックすることができる。
回答に表示された文章や段落の末尾に引用表記が行われており、これをクリックするだけで、ブラウザのタブにソースのページが表示される。
信頼性の低そうなページを参照していれば、その段落を無視するなど、情報ソースの信頼性に応じて回答を評価できるのが嬉しい。
画像やPDFなどのファイル読み込み機能
Perplexityは、質問にファイルを含めることも可能だ。
例えば、PDFファイルをアップロードして、その中身を要約するように聞くこともできるし、写真をアップロードして、その写真が撮影された場所を検索させることもできる。
例えば、実際にフリー画像素材サイトのUnsplash上で見つけた東京タワーが写っている夜景の写真を添付し、「この画像には何が写っていますか。どこで撮影されたものですか。」という質問を投げかけてみた。
すると、AIがファイルを読み込んで、東京タワーであると判断し、Web上で東京タワーや夜景に関するキーワードでの検索を行っている。
マップの情報まで表示してくれるので、例えば有名な写真スポットの場所を調べたい場合などに便利だろう。
Perplexity無料版とPro版の違い
Perplexity AIは無料版とPro版の2つのバージョンを提供している。
当然、有料プランの方が使用できる機能が多いが、Perplexity AIの検索機能は、無料ユーザーでも会員登録なしで使用することができる。
Perplexityの本領が発揮されるのは、「Pro Search」と呼ばれる、AIがユーザーとインタラクティブにやり取りしながら、より深く文脈を理解して検索をしてくれる機能だ。
無料版でも、記事執筆時点で1日5回までPro Searchを利用することができた。
ただ、5回だけだと本格的に使用する場合にはあっという間に使い切ってしまうので、もし機能を気に入ったら、1日300回という実質無制限のPro Searchが利用できる月額20ドルの有料プランに入る方がオススメだ。
また、こちらのリンクから登録すると、当ブログからの紹介コードで、10ドルの割引が受けられる。
Perplexityは有料版でこそ本領が発揮されるので、以下、ぜひ使ってみて欲しい。
以下では、Pro版のメリットを簡単に紹介・整理する。
Pro版は最新のAI群から好きなモデルを選べる
無料版では、高速な検索に特化したPerplexity独自のAIモデルが回答の生成に利用されている。
これに対して、プロサブスクリプションのメンバーであれば、OpenAIやAnthropicなどの他社が開発した最新のAIモデルを、回答生成時に使用するデフォルトモデルとして指定することができる。
記事執筆時点で、OpenAIの最新・最強のモデルであるGPT-4 Turboをはじめ、GPT-4を超えた性能を持つとも言われるAnthropic社のClaude 3 Opusモデル、フランスのAI企業であるMistral社のMistral Largeモデルなどを利用することができる。
これらは、設定画面からプルダウンリストで選択することができ、自分の気になるモデルを選んでおいて、以降のPerplexityの回答生成はそのモデルによって行われる。
AnthropicのClaude 3 Opus、Sonnetなどは、まさに登場した直後にPerplexityに実装されており、 今後も新しい強力なAIが登場した際にもすぐに実装されることが期待できる
フリー版よりも圧倒的に高精度で的確な回答が得られるようになるので、プロ版を利用したら、まずはこれらの最新モデルを試してみて欲しい。
特に筆者のおすすめは、AnthropicのClaude 3 Opusだ。 日本語の文章力はGPT4以上に高いと感じており、非常に自然な文体の日本語が生成される。
ビジネスの現場などでも、調べ物をして、その結果を資料に簡潔にまとめる際などに、Claude 3 Opusが生成する文章はそのまま使えるレベルのかなり実用的な品質に達していると思う。
文脈をより深く理解した回答が得られるPro Search
Pro版のユーザーは、Pro Searchクエリを1日300回以上利用でき、曖昧な質問であっても、AIがフォローアップの質問を通じてユーザーを理解し、最も関連性の高い情報を要約して提供してくれる。
例えば、クイックサーチとプロサーチの違いを理解するために、「パンダは何を食べるかを、学校の宿題用にまとめて。」という質問で見比べてみよう。
この質問は、「学校の宿題」が、一体どこまで詳しい情報を、どれくらいの量で要求しているのかが不明瞭だ。
Pro Searchでは、選択式のラジオボタン形式で、「食べるものの種類」「1日の食事量」など、具体的にどんな情報が必要かを、AIがユーザーに尋ねてきた。
栄養バランスや進化の歴史など、他にも加えたいポイントがあれば、フリーテキストで追加のコメントを送信することもできる。
これに対して、無料ユーザーが行うクイックサーチの場合、単純に回答を短くまとめてくれるだけで、「学校の宿題」がどのような仕様・要件であるかについては検討されていない。
実際に筆者が使う中でも、例えばブログの記事の下書きなどを要求すると、タイトルや構成に指定があるかをフォローアップ質問としてAIが聞いてきて、 こちらがタイトルを提供すると、そのタイトルの文体や内容を踏まえた導入文や、記事の構成を提案してくれた。
単純に通常のAIのようにユーザの質問から直に回答する場合に比べて、はるかにユーザの意向に沿った精度の高い回答が生成されるように思える。
Pro版はDALL-E 3やStable Diffusionによる画像生成までできる
さらに、プロ版の特徴として、画像生成のAIをPerplexityの検索画面上から利用することができるという点も見逃せない。
画像生成AIについても、複数の最新AIモデルから画像生成に用いるモデルをユーザーが選択することができ、OpenAIが開発するDALL·E 3や、Stable DiffusionなどのAIモデルを指定することができる。
例えば、パンダの食事に関するリサーチを行っている途中で、画面の右側に表示されている「画像を生成する」というボタンをクリックすると、パンダの食性をイメージしたイラストが生成された。
画像のスタイルを指定することもでき、イラストや写真、絵画、もしくはダイヤグラムなど用途に合わせて画像の種類を指定することもできる。
こちらの例では、パンダの植生をダイヤグラムとして生成させた結果である。
例えば、PowerPointの資料を制作しているときに、ウェブで検索して情報収集をしながら、スライドに使用する写真素材を、Perplexity内で生成してスライドに即座に貼り付けるといった使い方が考えられる。
PerplexityのPro版で、以上で紹介したような機能が全て利用できることを考えると、情報収集や要約のタスクが中心になる場合には、ChatGPTやClaude 3などの他社サービスを個別に複数契約するよりも、Perplexity1本の契約に絞った方が、コストパフォーマンスが高いのではないかと思う。
他社の主要AIモデルをPerplexity経由で格安で使う裏技
さて、ここまで解説してきたところで、察しのいい読者は、「ChatGPTやClaude、Geminiを個別に契約しなくても、Perplexityで全部使えるってこと?」と言うことに気付いてしまったかもしれない。
本来、OpenAIが開発する最新のLLMであるGPT-4 Turboを使うには、ChatGPT Plusを契約して月20ドルを支払わなければならない。
同じく、Anthropicが開発する最新モデルであるClaude 3 Opusを使うには、ClaudeのPro Planを契約して月20ドルを支払わねばならない。
しかし、PerplexityのPro Planに課金すれば、GPT-4 TurboもClaude 3 Opusも使える。
しかも、Perplexityの検索機能はオフにすることができ、単なるチャットとして利用できるので、本当にChatGPTやClaudeを使用するのと変わらない結果も得ることができる。
検索機能をオフにするには、検索を実行する際のフォーカスの選択で、「Writing」というテキストの生成とチャットのみに機能を限定するオプションを利用するだけだ。
WritingモードでPerplexityに質問を投げかけると、Pro Planの設定で指定した大規模言語モデルによって、検索を行わずに回答が生成される。
非常に実用的なPro Searchがおまけでついてくる上に、本来は合計40ドル/月もするはずのChatGPT PlusとClaude Pro Planが、Perplexityへの20ドルの支払いだけて一気通貫で利用できるとなると、こんなにお得な話はない。
筆者も、現在はPerplexity Pro Planをメインで契約し、例えばClaude 3 Opusをどうしても単体で使いたい時は、月額契約を追加することなく、APIキーによる従量課金で乗り切っている。
これで、生成AI関連の月額サブスクリプション費を、がっつり節約することができる。
ChatGPTやClaudeもいいけどPerplexityを使ってみよう
Perplexity AIを使えば、自分で検索キーワードを考えたり、大量の検索結果をざっと読んだりする手間が省ける。質問を投げかけるだけで、AIが適切な情報を見つけ出し、要点をまとめてくれる。
通常の大規模言語モデルに何らかのキーワードの解説を求めるような使い方では、新しい情報に基づく回答が得られないことが課題だが、リアルタイムにWebをクロールするPerplexity AIを使えば、最新の情報にもいち早くアクセスできる。
特にニュースや時事問題など、鮮度の高い情報が必要な場面で威力を発揮する。
また、Perplexity AIは情報のソースを明示するので、参照した情報の信頼性を確認しやすい。
ChatGPTの検索機能や、CopilotのBingサーチだけでは、信頼できないサイトからの引用があっても気づきにくい。検索に特化したサービスならではの優位性がPerplexityにはある。
特に、学生やビジネスパーソン、ライターなど、リサーチとリサーチ結果の要約やレポーティングが求められるタスクを抱える人にお勧めだ。
学生がレポートや課題に取り組む際、Perplexity AIを使って効率的に情報収集できるし、学術論文のみを指定したサーチなど、信頼できる学術的なソースも積極的に参照してくれるので、説得力のある論拠を見つけやすい。
ビジネスパーソンが業界動向や競合他社の情報を収集する際にも、Perplexity AIが役立つ。
最新の業界レポートやニュース記事など、リアルタイムな情報にアクセスできる。しかも、Web検索の結果を自分でまとめる必要なく、Claude 3 OpusやGPT-4などの強力なAIが整理と要約まで行ってくれる。
Perplexity AIは、自然言語での質問応答、情報ソースの明示など、従来の検索エンジンにはない特徴を備えている。
リアルタイム性の高い検索など、従来のAI・大規模言語モデルにはない利点も兼ね揃えている。
Claude 3 OpusやGPT-4といった生成モデルの良いとこどりをしながら、検索面を強化することで独自の価値を訴求している。
筆者自身、以前一度だけPerplexityを使ってみてから、しばらく離れてしまっていたが、超高性能なClaude 3 Opusが実装されたことで、再び本格的に実用する機会が増えている。
広く世の中一般で話題のChatGPT以外にも、Perplexityのようなような独自の強みを持つAIサービスがあるということに、もっと多くの人が目を向けてくれれば、さらにこの分野の進化が加速するものと期待している。
こちらのリンクからPerplexityのPro Planに入ると、10ドル分の割引が適用されるので、是非活用してほしい。