AIじゃないよ

Claude 3の全モデルOpus, Sonnet, HaikuをGoogle Colabにチャット風のUIで実装してみた

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OpenAIのGPT-4をも凌駕すると言われるAnthropicのClaude 3だが、最上位のOpusモデルを使用するには、月額20ドルの契約が必要だ。

ChatGPTもClaude 3も、最上位モデルを利用するにはどちらも月額20ドルを要するので、話題のClaude 3 Opusを試してみたくても、両方契約してしまうと40ドルにもなるため、既存のChatGPT Plusユーザーだと中々手を出しにくい。

また、まだ生成AIを使い込めていない初心者にとっても、無料で各社の下位モデル(Claude 3 SonnetやGPT-3.5)を使うこともできる中で、いきなり月20ドルを払って、Claude 3 Opusを試すのは少しハードルが高いと感じる人も多いかもしれない。

しかし、Claude 3 Opusは無料のSonnetと比べると圧倒的に精度が高いし、GPT-4も無料のGPT-3.5と比べると圧倒的に精度が高く、生成AIがビジネスや実生活で本当に役立つことを実感するためには、やはり是非とも各社の最上位モデルを使ってみてほしい。

この点、APIキーを使うと、月額契約なしで、使った分だけの従量課金でClaude 3 Opusを利用できる。

通常、APIキーを活用するには、多少のプログラミングの知識が必要だ。

そこで本記事では、無料で使えるGoogle Colaboratoryというツールを使って、誰でも、プログラミング知識がなくても、簡単にClaude 3 Opusなどを使えるチャット風のウェブアプリを作ってみた。

自分のAPIキーを作成した上で、この記事で公開しているGoogle Colabのノートブックにアクセスすれば、Claude 3 Opus, Sonnet, Haikuの3モデルとのチャットを使える。

しかも、Claude 3のAPIは、初回登録時に、5ドル分のクレジットが無料で付与されるので、完全無料でOpusとのチャットを試しまくることもできる。

この記事をきっかけに、Claude 3 Opusが非常に高性能である衝撃を、ぜひ多くの人に体感してほしい。



AnthropicのClaude 3シリーズの三つのモデル

Anthropic社が開発するClaude 3は、2024年3月にリリースされたばかりの最新の大規模言語モデル(LLM)であり、OpenAI社が開発するChatGPT / GPT-4などと同様に、高度な自然言語処理能力を備えている。

Claude 3は、Opus、Sonnet、Haikuの3つのモデルから構成されており、Opusが最も高価だが性能も高く、Haikuは性能は低いが最も安価で高速なモデルとなっている。

特にOpusは、GPT-4を上回る性能とも言われ、大学レベルの知識や大学院レベルの推論、基礎数学やコーディングなどの多様な分野のベンチマークテストで、他社のモデルを上回る高い精度を出したことが報告されている。

API価格は月額契約より(ほとんどの場合)安い

利用量や頻度に関わらず毎月20ドルが掛かるサブスク契約とは異なり、APIは、チャットでユーザーが入力した文字の量、AIが生成した文字の量に基づいて、「トークン」と呼ばれる単位によって、課金金額が決まる。

Opus, Sonnet, Haiku各モデルのAPIの利用価格は、性能に応じて以下のように設定されている。

比較用に、競合であるOpenAIが開発するGPT-4 TurboとGPT-3.5 Turboの価格も表示している。

モデル名入力価格(100万トークンあたり)出力価格(100万トークンあたり)
Claude 3 Opus$15$75
Claude 3 Sonnet$3$15
Claude 3 Haiku$0.25$1.25
GPT-4 Turbo$10$30
GPT-3.5 Turbo$0.5$1.5

「100万トークン」というのは、英文で言うと75万単語ほどにあたるとされる。

源氏物語の英文翻訳版が全54章で75万単語らしいので、Claude 3 Opusに源氏物語を丸ごと突っ込んだ(入力)としても15ドル、源氏物語を丸ごと考えさせた(出力)としても75ドルで済む計算だ。

APIは、通常は企業の運営するWebサービスなどに組み込まれて、大規模に運用されることを想定しているものなので、とんでもない文量でも、非常に安価であることが分かる。

個人ユーザーが、自分用にチャットとして利用している限り、APIの利用料金が月額20ドルを超えるのは、小説を何本も考えさえるような相当なヘビーユーザーでもなければ、ほぼあり得ないだろう。

Claude 3シリーズのうち、Opusは最も高価で、OpenAI社のGPT-4 Turboと比較しても、入出力ともに価格が高い。

一方で、Claude 3 Haikuは非常に安価で、GPT-3.5 Turboよりも入出力ともに安い。

コストパフォーマンスを重視するならClaude 3 HaikuかGPT-3.5 Turbo、高性能さを求めるならClaude 3 OpusかGPT-4 Turboを選ぶのが良い。

筆者は、特に日本語の文章を生成させるタスクにおいては、GPT-4 TurboよりもClaude 3 Opusの方が性能が高いと感じており、多少の価格差はあれど、結局総額で月20ドルも使わないので、最も高価なOpusをメインで使っている。

Claude 3 Opus, Sonnet, HaikuをGoogle Colabで実装したノートブック

Google Colaboratoryは、Googleアカウントを持っていれば無料で利用できるPythonの実行環境で、他の人が書いたノートブックをGoogleドライブを経由して共有することができる。

このGoogle Colabを活用して、ClaudeとチャットができるミニWebアプリを作成した。

このノートブックを使えば、自分で全くコードを書かずに、Claude 3の各モデルとのチャットを利用することができる。

以下では、Google Colabを利用したことのない初心者のために、このノートブックを使うための手順をステップバイステップで解説していく。

Google Colabノートブックの使い方解説

Claude APIの会員登録&APIキーの作成

このノートブックを使用する前提として、あなたのAPIキーを用意して、Google Colabで呼び出せるようにしておく必要がある。

ClaudeのAPIのページにアクセスして、「Get started now」をクリックしてアカウントを作成し、以下のような開発者ダッシュボードにアクセスする。

「Get API Keys」メニューを選ぶと、自分の持っているAPIキーを一覧できるページに行くので、「Create Key」ボタンをクリックして新しいキーを作成する。

ここで作成したAPIキーは、一度しか表示されないので、必ず控えておく必要がある。とはいえ、忘れてしまってもキーを削除して新しく作り直せばいいだけだ。

左側のメニューから「Plans & Billing」をクリックすると、現在の利用料のチャージ残高が表示される。

初回登録時には、電話番号を認証するだけで、5ドル分のクレジットが無料で付与されるので、最初の5ドルを使い切るまでは、クレジットカードも登録することなく、無料でClaude 3のAPIを利用することができる。

自分のAPIキーをGoogle Colabに登録

以上で作成したAPIキーを、今度はGoogle Colabに登録して、いつでも呼び出せるように設定しておく。

Google Colabのノートブックを開いた際、左側のメニューに表示される「鍵」のマークをクリックすると、「シークレット」という機能が表示される。

シークレットは、あなたのAPIキーを登録しておくと、後々ノートブックから簡単にそのAPIキーを呼び出せるようにする機能だ。

「新しいシークレットを追加」ボタンをクリックして、「claude_api」という名前で、APIキーを登録しておく。

Google Colabノートブックの実行方法

ノートブックを開いたら、上部のメニューから「ランタイム」「すべてのセルを実行」をクリックすれば、勝手に上から順にすべてのコードセルが実行されるので、一番手間がない。

すべてのセルが実行されれば、ノートブックの下部にチャットUIが表示される。

もしくは、自分で手動で一つ一つのコードセルを実行していく場合には、グレー背景のコードセルの左側に表示されている「再生」ボタンのようなマークをクリックすると、そのコードセルが実行される。

1〜6番の見出しの下にあるすべてのコードセルを、上から順に実行していくと、チャットUIが表示される。

Googleドライブとの接続許可などの確認画面

このノートブックには、チャットの履歴をGoogleドライブに保存する機能を実装してある。そのため、ノートブックとGoogleドライブの接続を許可する必要がある。

また、他のユーザーが作成したノートブックを実行する場合には、警告メッセージが表示される。

ノートブックの冒頭の「1.必要なパッケージ準備&Googleドライブマウント」のコードセルが実行された時点で、以下のような許諾確認が表示されるので、「このまま実行」をクリックする。

続いて、Googleドライブとの接続を求める以下のような確認が表示されるので、こちらも「Googleドライブに接続」をクリックする。

次に、「2.Anthropic APIキーの設定」のコードセルを実行すると、以下のように先にシークレットに登録しておいた自分のAPIキーにアクセスを許可するかどうかを確認されるので、「アクセスを許可」をクリックする。

チャットUIの表示

以上でノートブックへのAPIキーの読み込みまでが完了したら、それ以降の見出し「3.使用したいモデルの選択(Opus, Sonnet, Haiku)」「4.Opus, Sonnet, Haikuを呼び出す裏側のコード」「5.Claude 3とのチャットインターフェース」のコードセルを順番に実行していくと、以下のようなチャット用のテキストボックスが表示される。

Claude 3に聞きたいことを書き込んで、「Send」ボタンをクリックして少し待つと、Claude 3からの回答が表示される。

実際に、「こんにちは」と言うテキストを打ち込んでみると、Claude 3 Opusが挨拶を返してくれた。

このまま次の質問を打ち込めば、Claude 3との会話を継続することができる。UIは豪華ではないものの、有料版に課金した場合とほとんど変わらない使い心地で、Claudeとのチャットが可能だ。

チャット相手のモデルをSonnet, Haikuに変更したい時は

このノートブックは、デフォルトでは最上位のOpusモデルを利用するようになっている。これを、より安価で高速なSonnetやHaikuなどの下位モデルに切り替えることも可能だ。

「3.使用したいモデルの選択(Opus, Sonnet, Haiku)」の見出しのコードセルを開くと、下部にあるプルダウンリストでモデルを選択できるようになっている。

一度「すべてのセルを実行」した後で、途中から使用するモデルを変更したい場合には、プルダウンでSonnetやHaikuを選択した後、これより下(4〜5番の見出し)にあるコードセルを実行し直す必要があるので注意が必要だ。

Haikuモデルに切り替えた後、先ほどと同じく挨拶をしてみると、Opusよりは大分そっけない返事が返ってきた。

メッセージ履歴をGoogleドライブに保存する

以上のClaude 3とのやり取りの履歴を、Googleドライブに保存する機能も実装しておいた。

ノートブックの最下部にある「6.メッセージ履歴の保存」見出しのコードセルを実行すると、その時点でのClaude 3とのチャット履歴を、「現在時刻_chat_history.txt」と言うタイトルでテキストファイルとして保存する。

自動的にその時点での現在時刻を取得してくるので、過去のチャット履歴を上書きしてしまわないようになっている。

デフォルトでは、Googleドライブのマイドライブ内の「Colab Notebooks」フォルダにテキストファイルが生成される。

テキストファイルを開いてみると、以下のようにUserとAssistantの会話のやり取りが記録されている。

お手頃価格で最新・最強の生成AIモデルを使ってみよう

本記事で紹介したGoogle Colaboratoryのノートブックを使えば、プログラミングの知識がなくても、簡単にClaude 3のOpus、Sonnet、Haikuの全モデルを試すことができる。

APIキーを利用することで、月額20ドルのサブスクリプション契約よりも、使った分だけの従量課金となるため、月々の利用料金を抑えるコストメリットがある。

初めてClaude 3 Opusを試してみる場合でも、いきなり20ドル払うよりも、まずは5ドル分の無料APIクレジットを使って試してみる方がお得だ。

このノートブックを活用して、実生活の様々なタスクをOpusにやらせてみてほしい。

ビジネスシーンであれば、例えば、要点を伝えてビジネスメールを代筆してもらったり、報告書の要約・結論部分の作成、ウェブ広告などのタイトルやキャッチコピーの考案など、様々な場面でClaude 3の高い文章生成能力を活かすことができる。

ぜひ、本記事で紹介したノートブックを使って、Claude 3の全モデルを試してみてほしい。特に、最上位のOpusモデルの高い性能を体感することで、生成AIの可能性と実用性を実感できるはずだ。

この記事がきっかけとなり、多くの人がClaude 3の魅力に触れ、生成AIをビジネスや日常生活に活かせるようになることを願っている。



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