AIじゃないよ

さよならNotebookLM。Claudeの革命的新機能「Projects」完全ガイド:リサーチ・読書の新体験

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2024年6月26日、世界最高性能のClaude 3.5 Sonnetなどで知られるAnthropicが、Claude.aiの新機能「Projects」をリリースした。

Claudeは、OpenAI社が提供するChatGPTのように、ブラウザ上のチャット形式で大規模言語モデルと対話ができるサービスだ。

「Projects」機能を使うと、PDFなどのドキュメントをAIの知識源としてアップロードでき、AIがそれらのドキュメントを理解した上でチャットに回答してくれる。

PJに関連する文書を日々アップロードして蓄積していけば、次のMTGのアジェンダの作成から、メールの作成まで、なんでもできる優秀なプロジェクト専任アシスタントを雇えるようなものだ。

電子書籍やKindleをアップロードすれば、その本についてあらゆる質問に答えてくれたり、調べ物中に収集したPDFをまとめてアップロードすれば、AIが勝手に要約レポートを作ってくれたり、その用途は無限大だ。

本記事では、ClaudeのProjects機能の概要と、具体的な使用方法を紹介する。



GoogleのNotebookLMと、ClaudeのProjectsの違いは?

類似のサービスとして、Googleが6月にリリースした「NotebookLM」がある。

NotebookLMもまた、PDF、書籍、メール記録、議事録などを「ソース」としてアップロードして、AIとそれらの文書の中身について会話したり、AIが要約やメモを生成してくれたりするWebアプリだ。

Claudeの「Projects」は、よりチャットのインターフェースに近いが、複数のチャットのスレッドをプロジェクト単位で整理できるため、NotebookLMのピン留めしたノートと同じようなことが実現できる。

Claudeの「Projects」の優位性は、現在世界最強のモデルである「Claude 3.5 Sonnet」を使っている点だ。

生成される日本語の文章のレベルが、Geminiを使っているNotebookLMよりずっと高く、またRAGの性能(アップロードしたドキュメントから情報を検索・抽出する性能)も高いように感じられる。

Claudeの「Projects」は、単純にNotebookLMの「上位互換」であると言っていいかもしれない。

登場後大いに話題になったNotebookLMだが、筆者が実際に使ってみた中では、ClaudeのProjectsの方が、生成される文章のクオリティが高く、実用的だと感じた。

ClaudeのProjects機能の使い方の基本

Projects機能は、Claudeの有料会員である「Pro」プラン、または2人以上のユーザーの「Team」プランを対象に提供される新機能である。

使用するには、Claudeにログインした状態で、ClaudeのProjectsのページにアクセスする。

右上の「Create Project」ボタンをクリックすることで、新規のプロジェクトを作成できる。

プロジェクト作成時には、プロジェクトの名前と概要を記載することができる。

今回は、ビジネスパーソンのリサーチ業務や、大学生のレポート執筆などを想定して、学術論文などを収集してClaudeに読み込ませるプロジェクトを作成する。

適当に見つけたドキュメントが海洋環境に関するものなので、「レポート執筆:海洋プラスチックごみ」などと名付けておく。

プロジェクトを作成すると、以下のような要素で構成される画面が表示される。

  • Claude 3.5 Sonnetとの新規チャット
  • このプロジェクトに紐づくチャット履歴
  • ナレッジファイルのアップロード

長期にわたるプロジェクトであっても、過去のチャット履歴を一つの場所にまとめることができ、さらにナレッジファイルもどんどん追加・蓄積していける。

なお、Teamプランのユーザーであれば、複数人で一つのプロジェクトを共同で編集できるようになる。

ナレッジファイルをアップロードする

Projects画面右側のパネルで「Add Content」ボタンをクリックすることで、テキスト、PDFなどのドキュメント、プログラミングのコードなどをアップロードできる。

例えば、MTGの議事録を作成したら、ここに毎回アップロードしていけば、過去のMTGの履歴を全て把握したチャットボットが完成する。

各プロジェクトには、Claudeの最長入力制限と同じく、20万トークンという制限がある。これは、ざっくり約500ページの本に相当する。

以下の画像で「75% of knowledge size used」と表示されているのは、20万トークンという制限の何割を使い切ったかを示すバーだ。

プロジェクトで作成した資料や、議事録やメールの履歴などであれば、かなり長期間アップロードし続けても20万トークンには及ばないであろうから、かなり膨大なプロジェクトナレッジを備えたAIアシスタントを作れる。

今回の例では、海洋環境に関する学術論文や、世界経済フォーラムのプラスチックに関するレポートなど、長文の英文PDFをナレッジとして与えてみた。

アップロードしたナレッジに基づくチャットをする

ナレッジとしてPDFなどをアップロードした状態で、プロジェクト画面左側にある新規チャットのテキストボックスに指示を打ち込めば、ナレッジを活用してClaude 3.5 Sonnetが回答してくれる。

今回は、海洋環境やプラスチックに関する英語の学術論文を多数アップロードしているので、それにまつわるサマリーを頼んでみる。

Claudeに与えたプロンプトは以下である。

海洋環境におけるプラスチック汚染と、その国際的な対策について、箇条書きで構成されたブリーフィング資料を作成してください。ドキュメント1ページ分程度の分量とします。執筆にあたっては、口語を使用しないでください。

すると、ナレッジとして与えた各論文の中に確かに掲載されている情報が、的確に抽出・要約されて表示された。

英文のPDFを中心とするリサーチ業務などで、長文すぎて1つ1つ精読する時間がなく、全体像を先に把握したいと言ったケースで非常に役に立つ。

こうしたチャットの履歴は、プロジェクト内に自動的に履歴が保存される。

対話しながらドキュメントを作成・改善

プロジェクト内のスレッドであっても、通常のClaude 3.5 Sonnetとのチャットと変わらないので、会話を続けてアウトプットをどんどんブラッシュアップしていき、ナレッジに基づく資料やドキュメントをAIに全部作らせることも可能である。

例えば、以下のようにレポートのアウトラインを考案させるプロンプトを与える。

海洋環境におけるプラスチック汚染と、その国際的な対策についてのレポートをドキュメント5ページで執筆します。このレポートのアウトラインを作成してください。アウトラインの各項目には、その項目の執筆時に特に参照すべき文献を付記してください。執筆にあたっては、口語を使用しないでください。

すると、以下のようにアウトラインが生成されたが、改行が行われていなかったり、見出し同士の大小関係・インデントが行われておらず見にくい。

これだけでは、成果物として使えないので、改行とインデントを加えた形式で整理するように改めて指示する。

改行とインデントを加えたMarkdown形式にしてください。

こうして、Wordなどにコピペして使えるアウトラインが生成された。

プロジェクトの知識を持つAIに、サマリーを作らせるだけでなく、対話しながらレポートのアウトラインを執筆させたり、MTGのアジェンダを作らせたり、かなり複雑なタスクまで実行させることができる。

スレッドに名前をつけてドラフトを整理する

プロジェクト内にあるチャットのスレッドには、Claudeが自動的に考えたタイトルがつくが、これを任意の名前に変更することができる。

例えば、レポートのアウトラインを作成させたスレッドには、「レポートアウトライン」などと名付ければ、後から見返すのに便利である。

ナレッジの要約をさせたスレッド、レポートのアウトラインを考えさせたスレッド、レポートの第1章を執筆させたスレッド、といった感じで、タスクを細分化してスレッドを分けることで、必要な情報を後から簡単に参照できるようになる。

リサーチ業務やレポート業務であれば、Claudeに参考文献のブリーフィングをさせる→Claudeと一緒にレポートのアウトラインを考案する→Claudeに最初の項のドラフトを書かせる、というように、本来は人間が1人でやらねばならないタスクを、AIのアシストの下で進めていけるイメージだ。

プロジェクト固有のカスタムプロンプトを与える

また、 各プロジェクトに対して、Claudeが生成する文章をカスタマイズするための指示を定義できる。

例えば、今回の例であれば、シンクタンクのリサーチャーのように振る舞うように指示しておけば、ビジネスのリサーチ業務や大学等でのレポート執筆にふさわしい文体の文章が的確に出力されるようになる。

あなたは日本の政策シンクタンクのリサーチャーです。クライアントからの質問に対して、口語を用いず、簡潔に情報提供を行います。

総評:マジで業務で使えるAIアシスタント

ClaudeのProjectsは、ナレッジとして与えた内容を的確に抽出して、非常に質の高い文章を生成してくれる。

非常に性能の高い「Claude 3.5 Sonnet」モデルを使っているおかげで、Geminiを使っているNotebookLMと比較してもかなりのアドバンテージが感じられる。

高性能な汎用LLMさえあれば、それを応用したサービスも競争優位があるのだと実感する。

読書を効率化するためなど、プライベートでも使えそうではあるが、プロジェクト単位で長期的にナレッジを貯めていけるという特徴から、特にビジネスシーンで非常に有用だと感じる。

自分が抱えているプロジェクトの関連資料(企画書、プレスリリース、MTGの議事録、メール履歴などなど)をどんどんナレッジとしてアップロードしていけば、Claude 3.5 Sonnetという人類の大半より賢いAIが、プロジェクトの全てを完璧に把握した自分専用の超優秀な部下になってくれる。

次のミーティングで決めなくてはならないことをアジェンダとして書き出させたり、関係者へのメール文の案を書かせたりすると、本当に仕事で使える水準のクオリティの文章が出てくる。

筆者自身、新卒の学生にレクして作業させるより、Claudeに全部指示した方がマシだと思ってしまっているほどだ。

ナレッジとしてアップロードするドキュメントを的確に整理する必要はあるが、ぜひ一度、自分のアシスタントとして本気で使ってみて欲しい。

来年、再来年と、AIの進歩がこれ以上進んだら、世の中のホワイトカラーが一体どうなってしまうのか、今から戦々恐々としている。



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