ChatGPTを開発するOpenAIは、クリスマスまでの平日毎日、新機能や新製品をライブ配信で発表する「12 Days of OpenAI」を実施中である。
その8日目(12月17日)の発表で、ChatGPTの「検索」機能に関する様々なアップデートが紹介された。
多くの人に影響する点としては、これまで有料ユーザーしか使用できなかった検索機能が、無料ユーザーにも開放されたことだろう。
実は、ChatGPTの検索機能は、検索結果のマップ表示や、動画の埋め込み再生など、Google検索を完全に代替しうるほど高機能になりつつある。
驚くほどスムーズにWeb検索作業をAIがサポートしてくれるので、まだ一度も使ったことのない人は、無料化されたことだし、是非とも体験してみるべきだ。
本記事では、現在ChatGPTの検索機能で出来ることを全て網羅的に紹介する。
また、OpenAIによるライブ配信でデモが行われた具体的な使用例についても触れながら、徐々に注目されつつある「AI検索」で、私たちの生活のいったい何が変わるのか?を掘り下げてみる。
なお、他の12日間の発表内容の総まとめ・解説記事は、こちらのタグ「12 Days of OpenAI」から確認することができる。日本時間の火曜〜土曜の午前3時にライブ配信が行われるので、次回以降の解説もお楽しみに。
ChatGPTの検索機能で出来ること&主なアップデート
ChatGPTの検索機能は、2024年10月末に最初のリリースが行われ、ChatGPTの有料会員プランであるPlus、Teamの利用者だけが利用できる機能だった。
2024年12月の「12 Days of OpenAI」では、全体的に検索機能がブラッシュアップされ、高速化や、UI・見やすさの改善などが行われている。
ついに無料ユーザーにも解放!ChatGPT検索の基本
12月17日より、ChatGPTのアカウントにログインしている全てのユーザーが、検索機能を利用できるようになった。
これによって、Plusプランなどに課金していない人でも、ログインさえすれば、検索機能を使ってみることができる。
ChatGPTによるWeb検索を行うには、Web版・スマホアプリ版などで、地球儀のマークをオンにして検索キーワードを打ち込むだけだ。
たとえば、「東京の天気」と打ち込んでみると、結果を天気イラストと共にシンプルに返してくれた。
通常のWeb検索よりも圧倒的にノイズが少なく、要点だけが回答されるため、AI検索の方が便利な場面も様々あるだろう。
デフォルト検索エンジンとしての使用に足るよう速度も強化
ブラウザの「デフォルトの検索エンジン」としてChatGPTを設定することが可能になった。
ChatGPTのWeb版を開き、右上の自分のアイコンをクリックすると、「ChatGPTの検索拡張機能を取得する」というメニューがあるはずだ。たとえばGoogle Chromeであれば、OpenAI公式のChromeの拡張機能にリンクされる。
デフォルトの検索エンジンとして使用する上では、ChatGPTやPerplexityなどのAI検索ツールにはデメリットも多かった。
たとえば、AIが集めた情報を整理整頓した上で回答が表示されるので、単純に「Netflixを開きたいだけ」といった場合に、無駄に時間がかかるのだ。
今回のChatGPTのアップデートでは、そうした単純なWebアクセスのために使われることも想定した改善が行われている。
「ホテル予約サイト」などとChatGPTに聞いてみると、回答が生成される前に、即座にWebサイトへのリンクが表示されるのだ。
検索結果の写真・動画・マップなどのリッチ表示が強化
ChatGPTの検索機能の結果表示が全体的にブラッシュアップされ、より見やすくなり、地図上の位置表示など従来の検索エンジンと似たような機能も追加された。
上で紹介したように、天気予報がアイコン付きで綺麗にレイアウトされ表示されるなど、必要な情報が整理整頓され表示されるのは、AI検索の大きなメリットである。
2024年12月のアップデートでは、動画を直接ChatGPTの中で再生することも可能になった。
たとえば、最新のライオンキングの映画のトレーラームービーを調べて、と伝えると、YouTube動画が埋め込まれて表示され、ChatGPTのWeb版の中で直接再生することができた。
また、ChatGPTのスマホアプリでも、「東京の良い中華料理レストラン」などとChatGPTに聞いてみると、地図がチャット内に埋め込まれて表示され、地図上で店舗を選択できるようになった。
個別のレストランをクリックして、レビューや営業時間なども確認できるので、まるでGoogleマップのように、ChatGPTを利用できる。
また、一度検索をしてもらった後も、別の条件で再検索や絞り込みをしてもらうことも可能だ。会話形式で、検索結果を深めていくことができるのは、Google検索やGoogleマップなどに対する優位性かもしれない。
たとえば、「六本木でビールの美味しいお店」を検索してもらった後で、「テラス席がある店は?」と聞いてみた。
ChatGPTの音声モード中もWeb検索が可能に
ChatGPTと音声で会話をすることができる音声モードでも、ChatGPTがWeb検索をしてくれるようになった。
これによって、ハンズフリーで、ちょっとした調べ物をAIに任せることができるようになる。
たとえば、料理中にChatGPTと音声モードで会話しながら作業を進め、なにかしら調理法を知りたい時に、ChatGPTにウェブ上からレシピを探してきて、音声で解説してもらう、なんてことができてしまう。
音声でリアルタイムの最新情報をChatGPTが集めてくれるのは、地味に便利なアップデートだ。
12 Days of OpenAIのライブ配信では、旅行先で週末に行われるイベントを調べさせたり、旅行先のスイスの気温を調べてもらったり、実用的なデモが行われた。
なお、2024年12月18日現在、筆者のChatGPTのアカウントでは、まだ音声モード中の検索機能を利用することができなかった(何回聞いても検索してくれない)。これから徐々にロールアウトが進むものと思われる。
ChatGPTの検索機能は、Google検索を置き換えるか?
以上で紹介したように、ChatGPTの検索機能に様々なアップデートが行われ、スピードもインターフェースもより快適に使えるように改善された。
AI検索が、既存の検索エンジンを置き換えるかどうか、がよくメディア等で議論されるが、置き換えようが共存しようが、一定のタスクにおいて便利であることは間違いない。
ChatGPTが検索作業を代行してくれて、情報を瞬時に要約し、必要な情報だけを見せてくれるというAI検索の利点は、十分に魅力的なものであり、今後もChatGPTの検索を使う機会は増えていきそうだ。
調べ物の内容によっては、いよいよChatGPTの検索機能だけで事足りることも出てくるだろう。
とはいえ、まだまだ現状では、レストランを調べるにしても、Googleマップで高評価・営業中で絞り込むなど、AIに頼むより自分でフィルタをかけ絞り込んだ方が有用な場合も多い。
ただ、そういった人間の工夫も、AIによって代替される日も近そうだ。
とりあえず新しいツールには慣れておかないと、いつの間にか世の中の大半がGoogle検索からChatGPTに乗り換えている、なんてことも起きかねない。
(いまだにYahoo検索を使っている古参ユーザー達がいるように)